国語の土台となるのは「読む力」です。文章を最後まで理解できない、登場人物の気持ちがつかめない、設問の意図を誤解してしまう――こうした課題は、読解力不足が原因となっていることが多くあります。

読解力を育てることで、文章の内容を的確に把握し、設問に答えるための基礎が整います。ここでは、長文読解、心情読解、設問読解といった読解力を鍛えるための具体的な対策をまとめています。

長文対策

長い文章を読むのが苦手なお子様は、途中で内容を見失ったり、設問に必要な部分を見落としたりしがちです。
長文読解を得意にするためには、文章の種類ごとにポイントを押さえた練習が欠かせません。ここでは、論説文・物語文・随筆文・説明文ごとの具体的な問題例と対策を紹介します。

論説文の対策 ― 主張と根拠をつかむ
論説文とは、筆者の主張や考えを、理由や具体例を挙げて論理的に説明した文章です。論説文では、筆者の主張とそれを支える根拠を正しく理解することが求められます。
接続詞(「しかし」「なぜなら」「つまり」など)や段落の役割に注目し、文章を「意見」「理由」「具体例」に分けて整理する習慣をつけましょう。そうすることで論理の流れがつかめ、設問に対しても根拠をもって答えられるようになります。
物語文の対策 ― 心情や場面を読み取る
物語文は、登場人物や出来事を描いた文章で、心情や人間関係を読み取らせる設問が多くでます。発言や行動だけでなく、情景描写や比喩表現にも注目して、「なぜこの行動を取ったのか」「この時どんな気持ちだったのか」を考える練習をしましょう。
心情を表す語彙を増やし、場面ごとの変化を丁寧に追うことで、記述問題にも対応できる力がつきます。
随筆文の対策 ― 筆者の体験や思索を読み解く
随筆文は、筆者の体験や感想、思索が自由に書かれている文章で、論理の流れがはっきりしないことがあります。繰り返し出てくる言葉やフレーズなどに注目し、筆者が伝えたい中心的なテーマを見つけることが大切です。そのうえで、具体的な体験談やエピソードが「何を表すために書かれているのか」を意識して読み進めましょう。主張そのものよりも、「体験から導き出された考え方や価値観」をつかむ練習が効果的です。
説明文の対策 ― 情報を整理しながら読む
説明文は、事実や仕組みを分かりやすく伝え、理解させるための文章で、専門用語や具体例が多く、情報量に圧倒されやすい文章です。
段落ごとに要点を短くまとめたり、図表やキーワードを使って関係性を整理することが効果的です。「これは全体のどこに関わる説明か」を整理する習慣をつけましょう。
また、新しい用語が出てきたら前後の文脈から意味を推測する練習を取り入れると、内容理解がスムーズになり、設問に必要な部分を見落としにくくなります。

心情読解対策

物語文では、登場人物の心情を正しく理解することが得点のカギになります。ところが、単に会話や心情語を拾うだけでは不十分で、行動や情景描写、場面の変化なども総合的に読み取らなければ本当の気持ちをとらえることはできません。

心情語に注目し、状況と結びつける
「うれしい」「悔しい」「不安」などの心情語を見つけるだけでは不十分です。その言葉がどの場面で、どんな出来事をきっかけに使われているのかを結びつけて理解する必要があります。
たとえば「不安」という言葉が出てきたときに、「試験直前だから緊張している不安」なのか、「友人と仲違いして孤独を感じている不安」なのかを状況から判断します。心情語を単独で捉えるのではなく、背景の出来事と関連づけることが正解に近づくコツです。
行動や描写から気持ちを推測する
登場人物の気持ちは、必ずしも言葉で直接書かれているわけではありません。セリフに出てこない感情を、行動や描写から読み取る力が問われます。
たとえば「主人公は机の下で拳を強く握りしめた」という描写があれば、「悔しさ」や「怒り」の感情が隠れていると考えられます。また、「窓の外をじっと見つめた」という行動には、「不安」や「迷い」の気持ちが含まれる場合があります。こうした暗示的な描写を見逃さないことが得点につながります。
場面ごとの感情の変化を整理する
物語は時間の流れに沿って展開し、その中で登場人物の感情も変化していきます。冒頭・中盤・結末で心情がどう移り変わったかを整理することが重要です。
たとえば「最初は不安だったが、友人に励まされて安心した」「始めは怒っていたが、相手の気持ちを理解して納得した」といったように、感情の流れを「前後の比較」で押さえると、物語全体の理解が深まります。場面ごとの変化を意識すれば、心情を問う記述問題にも対応しやすくなります。

まとめ

文章を正しく理解する力は、すべての教科の基礎となる大切な力です。読解力が安定すれば、国語だけでなく他教科の理解力や学習姿勢にも良い影響が広がります。 オンライン家庭教師WAMなら、経験豊富な講師と教育アドバイザーのサポートで、お子様一人ひとりの読解力を着実に伸ばしていくことができます。