中学受験の英語は「いつから」が正解?算数・国語を守るための「やらない勇気」と戦略的活用術
「塾の面談で『最近は英語入試の学校も増えていますし、英検を持っていると有利ですよ』と言われたけれど、どうしよう…」
今、この画面を見ているあなたは、そんな不安を抱えているのではないでしょうか?
小学4年生や5年生になり、算数と国語の宿題だけで手一杯。
毎日のスケジュールを回すので精一杯なのに、ここにさらに「英語」を追加したら、子供がパンクしてしまうのではないか。
かといって、何もしないで受験直前に「やっぱり英語が必要だった」と後悔するのも怖い。
その焦りと葛藤、痛いほどよくわかります。
でも、安心してください。中学受験のプロとして結論から申し上げます。
中学受験において、英語は必ずしも「必須」ではありません。
むしろ、お子様の現状によっては、無理な追加は逆効果になることさえあります。
この記事では、多くの保護者が陥りがちな「英語必須化」の誤解を解き、偏差値アップのための「あえて英語をやらない戦略」と、もしやる場合の「負担ゼロに近い英検活用術」について解説します。
算数や国語という「本丸」を守りながら、賢く合格を勝ち取るための戦略を一緒に見ていきましょう。
Contents
【データで解説】「2025年英語必須化」の誤解と真実

「2025年からは英語ができないと受験できない」
そんな噂を耳にして、不安になっていませんか?まずは、客観的なデータを見て、その不安の正体を見極めましょう。
首都圏模試センターのデータによると、2025年入試において英語(選択)入試を導入する首都圏の中学校は約140校と言われています。
導入校数が140校という数字だけを見ると、「すごい数だ!やっぱり必須なんだ!」と思われるかもしれません。
しかし、ここで重要なのは「一般入試(4科目受験)」と「英語入試(選択受験)」の関係性です。
実は、英語入試を導入している学校のほとんどは、英語を「必須科目」として全員に課しているわけではありません。
多くの学校では、従来の「国語・算数・理科・社会」の4科目入試とは別に、「英語1科目」や「英語+算数」といった選択型の入試枠を設けているに過ぎないのです。
つまり、一般入試(4科目)と英語入試(選択)は、あくまで「対立・選択関係」にあり、どちらかのルートを選べば良いのです。
もしお子様が4科目受験の準備を進めているなら、英語入試枠を気にする必要はありません。一般入試の配点に英語が含まれることは極めて稀であり、英語が0点でも(そもそも試験科目にないので)、合否には全く影響しません。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 志望校の募集要項を必ず確認し、「一般入試」の科目に英語が含まれているかチェックしてください。
なぜなら、多くの保護者が「英語入試導入」というニュースの見出しだけでパニックになりがちだからです。実際には9割以上の学校で、一般入試に英語は含まれていません。「敵(入試制度)」を正しく知れば、不要な不安は消えます。
算数・国語がピンチなら「英語は全捨て」が正解な理由
では、具体的にどのようなご家庭が「英語をやらない」という選択をすべきなのでしょうか。
それはズバリ、「現在、算数または国語の偏差値が50に届いていない、もしくは宿題をこなすだけで精一杯」という状況のご家庭です。
なぜなら、中学受験の学習において、算数・国語と英語学習は、完全な「トレードオフ(時間と体力の取り合い)」の関係にあるからです。
中学受験の合否を分けるのは、配点の高い算数と国語です。これら主要科目の基礎が固まっていない段階で、新たな言語である英語を追加することは、マラソンの途中で重いリュックを背負うようなもの。
「英語もやっておけば安心」という親心が、結果として子供のキャパシティをオーバーさせ、算数の復習時間を奪い、全科目の成績ダウン(共倒れ)を招くケースを、私は数えきれないほど見てきました。
算数や国語がピンチの時は、勇気を持って「英語は全捨て」してください。それは「逃げ」ではなく、合格というゴールから逆算した「戦略的撤退」です。
主要科目の成績が安定することで、結果的に合格率は高まります。
受験勉強において最も重要なリソースは『子供の時間』と『精神的余裕』です。これらを分散させることは、最大のリスクとなり得ます。
出典: スタディアップ – [中学受験 社会科の重要性](https://www.studyup.jp/contents/chishiki/english.html)
それでもやるなら「コスパ最強」の英検加点狙い
「頭ではわかっていても、英語を完全に捨てるのはやっぱり不安…」
そう思われる方もいらっしゃるでしょう。もし英語に取り組むのであれば、ゴール設定を変えましょう。
「英語がペラペラになること」や「英語で受験すること」を目指すのではなく、「一般入試での加点(優遇措置)を得ること」だけを目的にするのです。
ここで鍵となるのが、英検取得と入試加点の「手段と目的」の関係です。
多くの私立中学では、英検を持っている受験生に対し、入試当日の点数に加点したり、合否判定で優遇したりする制度を設けています。
そして、この優遇措置の対象となる級は、準2級や2級といった高難易度なものだけではありません。
実は、「英検4級」や「英検3級」といった、比較的取得しやすいレベルでも、「+10点〜30点」の加点を与えてくれる学校が存在するのです。
英検4級や3級であれば、週1回の学習や、長期休みの短期集中講座でも十分に合格可能です。
これなら、算数・国語の邪魔をせず、最小限の労力で「入試当日の持ち点」という大きなメリットを享受できます。これこそが、中学受験における「コスパ最強」の英語活用術です。
英検級別・入試優遇措置の例(イメージ)
| 英検の級 | 難易度・学習負担 | 入試でのメリット(例) | 向いているご家庭 |
|---|---|---|---|
| 英検4級 | 低 (中学中級程度) 週1回・数ヶ月で取得可 |
当日点に+10点加点 (合否ラインを押し上げる) 判定時のボーダー考慮 |
算国優先・負担を減らしたい |
| 英検3級 | 中 (中学卒業程度) 過去問対策が必要 |
当日点に+20〜30点加点 特待生判定の優遇 |
主要科目に余裕がある |
| 準2級以上 | 高 (高校中級程度) 本格的な対策必須 |
英語特待・入試免除など 英語1科受験が可能 |
帰国生・英語が得意な子 |
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 志望校の加点条件を調べ、4級・3級で加点があるなら、そこだけをピンポイントで狙いましょう。
なぜなら、入試における「1点」は合否を分ける重みがありますが、その10点、20点を算数で上乗せするのは至難の業だからです。英検による加点は、いわば「確約された得点」。これを最小コストで手に入れるのが賢い戦略です。
いつから始める?WAMが提案する「3つの開始タイミング」
では、ご家庭の状況に合わせて、具体的にいつから英語(または英検対策)を始めればよいのでしょうか。
WAMでは、お子様の学習状況や志望校に合わせて、以下の3つのパターンを提案しています。
1. 【小4・余裕あり】将来を見据えた「週1スタート」
算数・国語の成績が安定しており、宿題もスムーズに終わる場合は、小4から週1回程度のペースで英検対策を始めましょう。
まずは5級・4級を目指し、成功体験を積み重ねることが目的です。決して無理はせず、主要科目が忙しくなったら即中断する柔軟性を持ちましょう。
2. 【小5・算国苦戦中】勇気ある「英語全捨て・小6短期決戦」
現在、塾のクラス落ちや宿題未消化で悩んでいるなら、英語は一切やりません。 小5から小6の1学期までは、算数と国語の基礎固めに全リソースを集中させます。
そして、もし6年生の夏までにある程度の余裕が生まれたら、そこから短期間で英検対策を行い、秋の試験で4級か3級の取得を目指します。もし余裕がなければ、最後まで英語は捨てて、4科目の点数だけで勝負します。
3. 【小6・切羽詰まり】潔く「中学入学後スタート」
受験直前期で余裕がない場合は、「英語は中学入学後から」と割り切りましょう。
中高一貫校の多くは、入学後に基礎(アルファベット)から丁寧に教えてくれるカリキュラムを持っています。
「入学してからでも十分間に合う」と信じ、今は目の前の過去問対策に集中してください。合格してから、入学までの春休みに「中学準備講座」で英語を始めれば完璧です。
【Q&A】中学受験と英語に関する保護者の迷い
ここでは、日々WAMの教室で保護者様から寄せられる、リアルな疑問にお答えします。
Q. 低学年からやらないと、発音やリスニングで不利になりませんか?
A. 中学受験の英語入試や英検(3級まで)に関しては、筆記の比重が高く、高度なリスニング力までは求められないことが一般的です。
また、発音に関しても、中学入学後に正しい指導を受ければ十分に矯正・習得が可能です。「ネイティブ並み」を目指すのでなければ、焦る必要はありません。
Q. 志望校が英語入試を導入していますが、対策なしで受けてもいいですか?
A. その学校が「英語選択入試」のみでなく「一般入試(4科・2科)」を行っているなら、対策なしで一般入試を受ければ大丈夫です。
無理に苦手な土俵(英語)で戦う必要はありません。得意な算数や国語で勝負できる入試方式を選んで出願しましょう。WAMでは、志望校の配点比率を分析し、最も有利な受験方式を提案しています。
「やらない」選択に自信を。お子様の合格に必要なのは「親の戦略」です
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「みんなやっているから」という不安な気持ちが、少しでも軽くなったでしょうか?
中学受験において、英語はあくまで「オプション(選択肢)」に過ぎません。
最も大切なのは、お子様が心身ともに健康な状態で、自信を持って入試本番を迎えられることです。
そのためには、親御さんが「今は算数を守るために、英語はやらない」という勇気ある決断をしてあげることが、何よりのサポートになります。
もし、「うちの子の場合、英語を入れる余裕はある?」「算数を優先した場合、どの単元を重点的にやればいい?」と迷われたら、ぜひ一度、WAMの無料学習相談にお越しください。
WAMなら、個別指導の強みを活かし、全教科のバランスを見ながら、お子様の現状に最適な「引き算のカリキュラム」を提案できます。
一緒に、お子様の笑顔と合格を守るための戦略を立てましょう。






