エドワード・ジェンナー ワクチンの開発者
新型コロナウイルスの不安がまだまだある状況ですが、医療従事者を中心にワクチン接種が行われ、高齢者への接種も始まり、順番にワクチン接種が広まっていくと思います。
新型コロナウイルスに対して予防の効果が期待されています。
そこで今回は話題となっているワクチンについて、「誰が最初に開発したのか」や「ワクチンの種類」を紹介していきます。
Contents
エドワード・ジェンナーって?
皆さん「エドワード・ジェンナー」を知っていますか?
初めて名前を聞いたという人もいるかもしれませんが、彼は人類初のワクチンである天然痘ウイルスのワクチンを開発した人です。
「エドワード・ジェンナー」について紹介していきます。
エドワード・ジェンナー像
(wikipwdiaより)
イギリスの医学者
ジェンナーはイギリスのバークレイという乳牛の放牧がさかんな酪農地帯である小さな村で生まれました。
12歳になったジェンナーは開業医のダニエル・ラドロウに弟子入りし9年間医学を学んでいきました。
21歳の時にはロンドンへ医学の修行へ行き、外科医と植物学者として有名なジョン・ハンターの弟子となりました。
24歳の時にはバークレイへ戻り開業医として仕事をしながら研究をしていました。
それが天然痘ワクチンの開発へつながっていきます。
牛からワクチン?
ジェンナーの故郷は酪農がさかんな地域のため「牛の乳搾りの女性は、牛痘にかかると天然痘にはかからない」ということに注目していました。
牛痘とは牛がかかるウイルス感染症で、牛痘ウイルスは人間にも感染し、発症すると天然痘に似た発疹が皮膚に現れます。
しかし、天然痘よりも弱い症状が出るものでした。
牛痘にかかった人の手には水膨れができ、ジェンナーは水膨れの中の液体が病気になるのを防いでいるのだと考え、その仮説を実践していきました。
実際に牛の乳搾りをしていた女性の手にできた水泡から液体を取り出し、牛痘にかかっていない少年に接種していきました。
こうしたやり方を何日間もかけて何度も繰り返していき、徐々に接種する量も増やしていきました。
そしてついに天然痘を少年に接種しました。
その結果天然痘を1度も発症しなかったことから人類初のワクチンの開発に成功しました。
近代免疫学の父
ジェンナーが発見したこの方法は種痘法と呼ばれ、研究した成果を1798年に発表しました。
その後種痘法はヨーロッパ中に広まって1802年にはイギリス議会より賞金が贈られたが医学界はこの名誉をなかなか認めず、ワクチン接種を快く思わない人もいました。
しかし、その後に天然痘の大流行によりジェンナーの種痘法は急速に普及しました。
このことをきっかけとしてジェンナーの種痘法以外の方法を禁止するほどでした。
また、ジェンナーは種痘法の特許をとりませんでした。
なぜなら、特許をとるとワクチンが高価なものとなり多くの人に行き届かないと考えたからでした。
人々を苦しめる感染症から一人でも多く救おうと考え、生涯を医療にささげたジェンナーは後に「近代免疫学の父」と呼ばれるようになりました。
ワクチンの語源
ワクチンを英語で書くと「vaccine」と書きます。
この名前を考えたのはルイ・パスツールという人です。
ジェンナーの種痘法をもとにワクチンの概念を確立させた人で、ニワトリコレラや狂犬病のワクチンを初めて開発したことでも知られています。
パスツールは感染症に対するワクチンを初めて作ったのがジェンナーだと言い、ワクチンを最初に開発したジェンナーの功績に敬意を表して予防接種のことを「vaccination」と名づけました。
これはラテン語で牛を意味する「vacca」から来ています。
ジェンナーさんから始まったワクチン
ワクチンにはいくつか種類があることを知っていますか?
ワクチンの代表的なものとしては「生ワクチン」と「不活化ワクチン」があります。
それぞれ簡単に説明していきます。
生ワクチン
生ワクチンというのは病原体が生きていますが、病原体のウイルスや細菌が持っている病原性を弱めたものとなります。
これを予防接種として使用すると、その病気にかかった状態とほぼ同じ免疫力をつけることができます。
病原性を弱くしたウイルスや細菌が徐々に身体の中で増え、接種後1~3週間に自然とかかったときと同じような軽い症状が出ることがあります。
生ワクチンの例としては、MR(麻疹風疹混合)、麻疹(はしか)、風疹、水痘、BCG、おたふくかぜなどがあります。
不活化ワクチン
不活化ワクチンというのは病原性をなくした細菌やウイルスの一部を使用します。
生ワクチンと比べると免疫力がつきにくいため何回かに分けて接種します。
不活化ワクチンの例としては、DPT-IPV四種混合(D:ジフテリア、P:百日せき、T:破傷風、IPV:不活化ポリオ)、DT二種混合(D:ジフテリア、T:破傷風)、日本脳炎、インフルエンザ、A型肝炎、B型肺炎、肺炎球菌、不活化ポリオなどがあります。
野口英世のワクチン研究
日本人でワクチンの研究をしていた人物として有名なのは野口英世です。
微生物学・細菌学の研究者であった英世はとても努力家としても知られていて「日本人は睡眠をとらないのではないか」とまで言われるほど熱心に研究をしていました。
未知の病気の研究に取り組み、数々の成果を上げ、ノーベル医学賞候補に3度も名前が載るほど世界的な医学者となりました。
そして、51歳の時に西アフリカで黄熱病の研究を続ける中で病に倒れ、短い生涯を閉じました。
英世の功績としては、梅毒菌の培養に成功したり、オロヤ熱とペルー疣が同じ病気であると証明したりと数々の功績があります。
そんな功績の中でも黄熱病の病原体を発見したことは当時の世界のトップニュースにもなりました。
しかし当初は細菌が原因であるという英世の考えに対して後に異を唱えたのがマックス・タイラーという人で、黄熱病の原因はウイルスであることを特定しました。
なぜこんなことが起きたかというと、英世が研究で使用していた顕微鏡は光学顕微鏡でした。
光学顕微鏡では細菌よりはるかに小さな病原体であるウイルスを観察することができませんでした。
20世紀に入ってから電子顕微鏡が発明され、より小さなウイルスが観察可能となり研究が進んでいきました。
このことから病原性細菌が原因とされる英世の発見は後に否定されてしまうこととなりました。
千円札における野口英世像
(wikipwdiaより)
まとめ
今回は、エドワード・ジェンナーを中心にワクチンについて紹介してきました。
天然痘についてはワクチンの普及によって天然痘の発生数は減少し、世界保険機関(WHO)は1980年に天然痘の世界根絶宣言を行いました。
それ以降天然痘患者の発生は世界で出ていません。
新型コロナウイルスに関する研修は今も世界中で進んでいます。
新型コロナウイルスの感染拡大が1日でも早く収束することを願っています。