「キシャのキシャがキシャでキシャした」 

 

問題です。

この例文の「キシャ」正し漢字を当てはめて下さい。

「キシャ」と読む漢字は、「汽車・記者・貴社・帰社・喜捨・騎射」があります。 

 

このつのうち、「喜捨」と「騎射」とはこのには当てはまりません。

「喜捨」は「寺社や困っている人に、進んで金品を寄付すること」、「騎射」は「馬に乗って走りながら弓を射ることという意味です。

「汽車・記者・貴社・帰社」の四つの漢字が入ります 

 

正解は「貴社の記者が汽車で帰社した」です。

だじゃれのように思うかもしれませんが、この文はワープロ専用機が開発されていた時代(1980年代)、研究開発者たちが使っていたものです。

ワープロとしての重要な機能である「一括変換」ができるかどうかの目安として用いた文です。 

 

この「キシャ」のように発音が同じで、意味の違う語のことを「同音異義語」といいます。

中学・高校・大学受験の書き取り問題としてよく出題されるものです。

また、日常生活においても、その使い分けを意識しなくてはならないものです。 

 

今回は、この「同音異義語」についてお話しします。 

 

同音異義語と同訓異字 

はるか遠い昔、日本列島に住む人々は、今とは多少発音の違いあったものの、当たり前ですが、日本語を話していました。

しかし、日本には文字がありませんでした。

その当時は文字なんて必要なかったからでしょう。 

しかし、世の中が発達してくると、当時の偉いさん為政者たちに記録を残す必要が生じてきます。そこで登場するのが「漢字」です。

当時の超文明国である中国の文字「漢字」を自国の文字として採用しました 

漢字を使って記録を残し出したおよそ五世紀頃は、中国語の発音のまま、中国語の文法にのっとり、中国語(漢文)として記録を残していました

この中国語の発音にしたがった漢字の読み、これが「音読み」です。

しかし、漢字が意味を表す文字表意文字であったため、漢字が定着するにつれ、「クァ」と発音していた「花」という漢字は日本語で言うところの「はな」のことだということから、漢字を日本語に翻訳した読み訓読み」が生まれます。 

 

 

中国語の発音のままの漢字の読みが「音読み」だと言いました。

もっとも、中国語には音調と呼ばれる発音の違いがあり例えば、「ka」という発音に、高い音・上昇する音・低い音・下降する音が存在します。

しかし、日本人が漢字を輸入した時、これらの音調は日本人の耳には聞き分けできなかったのか、もしくは、あまり注意を払わなかったのでしょう。

そのため、本来は発音の違いのあった複数の漢字に同じ「音読み」を施したのです。

そして、同じ「音読み」をする熟語、同音異義語が多数存在することとなったのです。 

 

同訓異字同様の事情によります。

すなわち、中国語側には使い分けがあったにもかかわらず、日本語側に使い分けがなかったために生じました。 

例えば、重さをはかろうが、深さをはかろうが、時間をはかろうが、はたまた、自殺をはかろうが、日本語では全て「はかる」と表現していました。

しかし、中国語では重さをはかる場合は「量」、深さをはかる場合は「測」、時間をはかる場合は「計」、自殺の場合は「図」と使い分けがあったため、「量・測・計・図」の全ての漢字を「はかる」と訓付けしたのです。

ちなみに会議にはかる場合は「諮る」、陰謀をはかる場合には「謀る」の字を用います。 

 

同音異義語区別する工夫 

 

 

同音異義語は、書き言葉では全く問題がないのですが、話し言葉においては意味を取り違えてしまうという問題が起こります。

多くは文脈で区別できますが、同音異義語が同じカテゴリーに属している語である場合、混乱が生じます。

例えば、「しりつ学校に通っています」と言われた場合、「私立」学校なのか、「市立」学校なのかを判断することができません。 

そこで、話し言葉における同音異義語を区別するための工夫として、次の三つ方法がとられています。 

 

①読み替え[漢字を別の読み、(多くは訓読み)を用いて発音を変える方法] 

かがく  ―科学(かがく)・化学(ばけがく)

けいじょう―計上(けいじょう)・経常(けいつね) 

しりつ  ―市立(いちりつ)・私立(わたくしりつ) 

 

②付け足し[言葉を追加して漢字を説明する方法] 

こうぎょう―工業(えこうぎょう)・興業(おこしこうぎょう)・鉱業(やまこうぎょう 

しあん  ―試案(こころみのしあん)・私案(わたくしのしあん) 

せいし  ―製糸(いとのせいし)・製紙(かみのせいし) 

 

③言い換え[別の単語を用いて区別する方法] 

すいせい ―水星・彗星→帚星(ほうきぼし) 

せいすう ―整数・正数→正の数(せいのかず) 

ふごう  ―符号・負号→負の符号(ふのふごう) 

 

覚えておきたい同音異義語 

覚えておきたい同音異義語 ベスト10 

先ほど同音異義語は書き言葉としては全く問題がないと述べましたが、書き取りの試験問題となると話は別でした。

大いに悩ましい問題といえます 

ここでは、ぜひ覚えておいてほしい同音異義語をリストアップしました

小中学校で習う漢字がほとんどですが、大学入試で問われることがあるものを選びました。

熟語の意味も合わせて記していますので、意味の違いをおさえながら解いて下さい。 

まずは、頻出のベスト10から。(答えは「まとめ」の後ろにあります。) 

 

①A 家具をイドウする。 ―位置を変えること。[       ] 

 B 人事イドウが発表される。―職務や地位が変わること。[       ] 

 C 両者のイドウを比較する。―相違点。[       ] 

 

A 半生をカイコする。―過去を思い出すこと。[       ] 

 B 従業員をカイコする。―やとい人をやめさせること。[       ] 

 C カイコ趣味を持つ。―昔を懐かしむこと。[       ] 

 

③A 映画をカンショウする。―芸術作品を味わうこと。[       ] 

 B 内政にカンショウする。―権限外のことに口出しすること。[       ] 

 C カンショウ的になる。―物に感じて悲しむさま。[       ] 

 D カンショウ地帯を設ける。―衝突を和らげること。[       ] 

 

④A 貸し出しキカンを定める。―ある一定時期のあいだ。[       ] 

 B 蒸気キカンを動かす。―からくり。仕組み。[       ] 

 C 無事にキカンする。―戻ってくること。[       ] 

 D 消化キカンを丈夫にする。―生物体の組織。[       ] 

 E キカン産業を振興する。―土台。一番の大もと。[       ] 

 

⑤A 通行をキセイする。―規則による制限。[       ] 

 B キセイ概念を打破する。―すでにできていること。[       ] 

 C キセイ服を買う。―商品としてできていること。[       ] 

 D 故郷へキセイする。―故郷に帰ること。[       ] 

 

⑥A シコウ力を身につける。―考えること。[       ] 

 B 法律をシコウする。―実際に行うこと。[       ] 

 

⑦A ゼッタイ多数で可決する。―比較するものがない。[       ] 

 B ゼッタイ絶命の危機に陥る。―追い詰められていること。[       ] 

 

⑧A 学生をタイショウとする。―働きかける目標。[       ] 

 B タイショウ図形を描く。―つりあうこと。[       ] 

 C タイショウ的な考えを持つ。―違いがはっきりすること。[       ] 

 

⑨A 電化製品がフキュウする。―広く行き渡ること。[       ] 

 B フキュウの名作を読む。―滅びずに長く伝わること。[       ] 

 

⑩A 品質をホショウする。―確実さを請け合うこと。[       ] 

 B 安全をホショウする。―責任を持って守ること。[       ] 

 C 損害をホショウする。―損害を金銭であがなうこと。[       ] 

 

覚えておきたい同音異義語 ベスト11~20 

ベスト10を覚えた次に覚えてほしい同音異義語が以下になります 

 

⑪A 明日イコウ受け付ける。それから後。[       ] 

 B 相手のイコウをうかがう。―どうするかの考え。[       ] 

 C イコウ措置を講ずる。―移りゆく過程。[       ] 

 D 親のイコウが失われた。―人を恐れ従わせる力。[       ] 

 E 作家のイコウが発見される。―死後残された未発表の原稿。[       ]

 

⑫A 保健エイセイに留意する。―健康を守ること。[       ] 

 B エイセイ中継をする。―惑星の周囲を運行するもの。[       ] 

 C エイセイ中立を維持する。―長年にわたること。[       ] 

 

⑬A 善行にカンシンする。―心に深く感じること。[       ] 

 B 天文学にカンシンがある。―興味を持つこと。[       ] 

 C 上司のカンシンを買う。―喜んでうれしいと思う心。[       ] 

 

⑭A 条約の締結をコウショウする。―相手とかけあうこと。[       ] 

 B コウショウな趣味を持つ。―上品で気高いさま。[       ] 

 C 時代コウショウをする。―実証的に説明すること。[       ] 

 

⑮A コウセイな裁判を行う。―こうへいで正しいこと。[       ] 

 B 委員会をコウセイする。―種々の要素を組織化すること。[       ] 

 C 福利コウセイを充実させる。―生活を健康的にすること。[       ] 

 D 真人間にコウセイする。―立ち直ること。[       ] 

 E 活字原稿をコウセイする。―誤字などを直すこと。[       ] 

 

⑯A シンチョウを測る。―背丈。[       ] 

 B シンチョウに行動する。―注意深く行動すること。[       ] 

 C 売上がシンチョウする。―のび広がること。[       ] 

 D 洋服をシンチョウする。―あらたに作ること。[       ] 

 

A 利潤をツイキュウする。おいもとめること。[       ] 

 B 責任をツイキュウする。おいつめること。[       ] 

 C 心理をツイキュウする。突きつめて調べること。[       ] 

 

⑱A 食品テンカ物を調べる。そえ加えること。[       ] 

 B 責任をテンカする。他人に負わせること。[       ] 

 

⑲A 作者名はフショウである。はっきりわからないこと。[       ] 

 B フショウ事が起こる。不吉なこと。[       ] 

 C フショウの子をしかる。親に似ない愚かな子。[       ] 

 D 事故でフショウする。怪我。[       ] 

 

⑳A ヘイコウ線を描く。交わらない平面上の直線。[       ] 

 B 両案をヘイコウして行う。同時に行われること。[       ] 

 C ヘイコウを保つ。つりあって安定している。[       ] 

 D 人ごみにヘイコウする。困り果てること。[       ] 

  

まとめ 

外国の文字である「漢字」を自国の文字として採用したために、同音異義というものが誕生しました

話し言葉においては不便さを感じる一面があるのは確かです。

同音異義語を区別するための工夫が必要となわけですから。 

 

しかし、例えば「エレクトロマグネティクフィールドという長ったらしい言葉が、漢字を使えば、「電磁場」と表現でき、漢字は一瞬でその言葉の意味理解を可能とする、便利なアイテムであるともいえます。

漢字の持つ便利さに比べて、同音異義語の不便さなど取るに足らないことだといえるでしょう。 

今回、「覚えてほしい同音異義語」として挙げたものは、同音異義語のほんの一部にすぎません。

ほんの一部にすぎませんが、文章読解において最重要なものばかりです。

入試問題において、同音異義語が出題されるのは、単に漢字知識があるかをみるためだけではなく、正しく文脈が読み取れているかどうかをはかるためです。

ここに挙げた同音異義語を覚えることが文章読解力を高めることにつながります。

しっかり覚えて、自分のものとして下さい。 

 

 【答え】

①A移動 B異動 C異同  ②A回顧 B解雇 C懐古  ③A鑑賞 B干渉 C感傷 D緩衝 

④A期間 B機関 C帰還 D器官 E基幹  ⑤A規制 既成 既製 帰省 

⑥A思考 B施行  ⑦A絶対 B絶体  ⑧A対象 B対称 C対照  ⑨A普及 B不朽 

⑩A保証 B保障 C補償 

 

⑪A以降 B意向 C移行 D威光 E遺稿  ⑫A衛生 B衛星 C永世 

⑬A感心 B関心 C歓心  ⑭A交渉 B高尚 C考証 

⑮A公正 B構成 C厚生 D更生 E校正  ⑯A身長 B慎重 C伸長 D新調 

⑰A追求 B追及 C追究  ⑱A添加 B転嫁  ⑲A不詳 B不祥 C不肖 D負傷 

⑳A平行 B並行 C平衡 D閉口 

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