国語の苦手を克服しよう!ー助詞と助動詞ー
こんにちは!オンライン家庭教師WAMです(^^)/
今回は【国語の「助詞」と「助動詞」】についてお話したいと思います。
みなさんは「助詞」と「助動詞」、意識して使い分けができていますか?
日本語では、「助詞」と「助動詞」が文の意味に大きく関わってきます。
言葉の意味や内容を正確に伝えるためには、この2つを正しく理解しておくことがとても大切です。
また、国語の入試問題という観点からも、「助詞」と「助動詞」の理解が得点の明暗を分けるキーポイントとなります。
自身の思いを正確に伝えるため、他者の思いを正確に受け止めるため、さらに入試の文法問題で高得点を得るために、今回は「助詞・助動詞」についてお話しいたします。
Contents
助詞とは
助詞とは、活用のない(下に続く言葉の影響を受けず常に同じ形である)付属語(文頭におけない単語)であり、様々な語に付いて意味を付け加える語を指します。
例えば、
英語の「I」は一語で「私が」という主語を表します。
しかし日本語では、名詞である「私」に、主語であることを示す助詞「が」を付属語としてつけることで、「私が」を主語とします。
同じく、「暑いので、エアコンを入れる」の「ので」は形容詞「暑い」に付いた理由を表す助詞です。
英語なら「because」という接続詞を使うところです。
「おしゃべりするな」の「な」も動詞「おしゃべりする」に付いた禁止を表す助詞です。
英語なら、命令文の形をとりますね。
このように、助詞は日本語独特の品詞であり、英文法と分けてとらえる必要があります。
助詞の分類
助詞は、格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞の4つに分類されます。
入試対策として、助詞全てを暗記できるのであればそれに越したことはないのですが、実際に入試に出題される助詞は限られていますし、まずは、この4つの種類の見極めが、入試問題を解くベースとなります。
格助詞
主に名詞の下に付きます。
前後の言葉の関係を示す助詞で、「を」「に」「が」「と」「より」「で」「から」「の」「へ」「や」の10語。
「鬼が戸より出、空の部屋」と語呂合わせで覚えてしまいましょう。
格助詞には主語・連体修飾語・連用修飾語・並立を示すという4つの働きがありますので、順に見ていきましょう。
①主語であること示す働き―「が」「の」
・タンポポ が 咲く。
・タンポポ の 咲く頃だ。(「が」に置き換えることができる「の」)
②連体修飾語であることを示す働き―「の」
前の名詞に付いて、後ろの名詞にかかっていく助詞。
・タンポポ の 花が咲く。(「が」に置き換えることができない「の」)
③連用修飾語であることを示す働き―「を」「に」「へ」「より」「で」
前の名詞に付いて、後ろの動詞・形容詞・形容動詞にかかっていく助詞。
・図書館へ行く。
・歌手になる。
・筆で書く。
・会場から抜け出す。
語順によって文の成分(一文における語の役割)が決定する英語の場合は、「~を」の語を「目的語」と呼びますが、語順が述語以外は順不同である日本語においては、「目的語」という別立ての呼び方はしません。
「学校で休み時間に本を読む」
「本を休み時間に学校で読む」
「休み時間に本を学校で読む」
いずれも日本語としては正しい語順であり、「学校で」「休み時間に」「本を」が「読む」という動詞を修飾しているととらえます。
④並立の関係であることを示す働き―「と」「や」「の」
・本とペンを買う。
・リンゴやミカン。
・痛いの、痛くないの。(名詞に付かない用例)
接続助詞
主に活用のある言葉(用言・助動詞)に付き、前後の言葉の関係を示す助詞です。
「ば」「と」「ても(でも)」「けれど(けれども」)「のに」「が」「ので」「から」「し」「て」「ながら」「たり(だり)」「なり」「ものの」「つつ」などがあります。
残念ながら、数が多くて語呂合わせでの覚え方はありません。
接続助詞は文の中間に入り、後ろに「、」が入る用例が多いのが特徴です。
接続助詞には、順接・逆接・単純接続の3つの働きがあります。
①順接の働き―「ので」「から」「ば」「と」「て(で)」
順接の働きをする接続助詞は、後ろに当然の結果が続きます。
・冬が来れば、雪が降る。
・冬になると、寒くなる。
・寒かったので、風邪を引いた。
②逆接の働き―「が」「ても(でも)」「ところで」「のに」「ももの」「ながら」「けれど(けれども)」
逆接の働きをする接続助詞は、後ろに予想外の結果が続きます。
・どんなに寝ても、眠い。
・雨なのに、彼は傘をささない。
・不満に思いながら、顔には出さない。
・知ってはいるものの、話さない。
③単純接続の働き―「が」「し」「ながら」「たり」「て(で)」
並立や補助の関係で前後の言葉をつなぐ助詞。
・彼は勉強もできて、スポーツも得意だ。
・これから会議ですが、参加しますか。
・彼はピアノも弾くし、歌も歌う。
副助詞
いろいろな語に意味を添え、述語の内容を限定する働きを持つ助詞です。
代表的な副助詞としては「は」「も」「こそ」「さえ」「まで」「だけ」「ばかり」「でも」「しか」があり、語呂合わせとしては「歯もこそ冴え、魔手だけばかり、デモ鹿」というのがあります。
しかし、それよりは名詞に付く格助詞の10語以外が副助詞と覚える方が効率的です。
副助詞が添える意味として、代表的なものに「強調・限定・程度・例示・添加・題目」があります。
・君こそスターだ。(強調)
・ゲームばかりしている(限定)
・泣きたいほど、うれしい。(程度)
・本でも読もう。(例示)
・雨さえ降ってきた。(添加)
・私は知らない。(題目)
くれぐれも格助詞との混同には注意して下さい。
特に「は」は、小学校レベルの文法では「が」とともに主語を表す語と習うため、格助詞と判断してしまいがちですが、「副助詞」です。
なお、意味を添える助詞が副助詞ですので、添える意味を省いた元の形に戻せる場合が多いのが副助詞の特徴です。
・君こそスターだ。→君がスターだ。
・ゲームばかりしている。→ゲームをしている。
・机の上にペンなどがある。→机の上にペンがある。
終助詞
主に文末につき、話し手の気持ちや態度を示す働きを持つ助詞です。
助動詞と働きが似ていますが、活用がないという点で助動詞とは区別します。
「さ」「か」「な」「の」「とも」「よ」「な」「わ」「ね(ねえ)」「ぞ」「や」などの語があり、語呂合わせとしては「魚の友よ…縄ねーぞや」があります。
終助詞の表す意味は、次の8つです。
①疑問を表す。―「か」「かしら」「の」
・もう食事はしたの。
・朝までに着くかしら。
②反語を表す。―「か」
・そんなこと知るものか。
・そんなことどうしてできようか。
③禁止を表す。―「な」
・もう泣くな。
・何も言うな。
④感動を表す。―「か」「な(なあ)」「ね(ねえ)」「よ」「や」「わ」
・なんと美しい夕日であったことか。
・すっかり寒くなったなあ。
・優勝するなんて、すごいや。
⑤念押しを表す。―「よ」「ぞ」「ね」「な」「や」
・会議に出席してくれるよね。
・明日から旅行に行くぞ。
⑥呼びかけを表す。―「や」「よ」
・おじいさんや、ごはんだよ。
・風よ、吹け。
⑦強調を表す。―「とも」「ぞ」「ぜ」「よ」
・もちろん、行くとも。
・さあ、やるぞ。
⑧勧誘を表す。―「よ」「や」
・早く、行こうよ。
・そろそろやめようや。
助動詞とは
助動詞とは、活用がある(下に続く言葉によって語尾の形が変わる)付属語(文頭におけない単語)であり、様々な語に付いて意味を付け加える働きをし、大きな述語のまとまりをつくる語です。
例えば、「られる」という助動詞(表す意味については後述)が、下に続く言葉によって、「食べられない」(未然形)・「食べられた」(連用形)・「食べられる」(終止形)・「食べられるとき」(連体形)・「食べられれば」(仮定形)・「食べられろ」(命令形)と活用するとします。
同じく活用する語である動詞・形容詞・形容動詞とは異なり、語幹と活用語尾の区別はしません。
また、助動詞はどのような語の下に続くかが個々の助動詞ごとに決まっています。
これを「接続」といいます。
例えば、「ない」という助動詞は、「読まない・起きない・見ない」と表現できるように、「未然形」に「接続」する助動詞であるとします。
このように助動詞は、「意味」だけでなく、「活用」と「接続」にも注意が必要なので、助動詞をマスターするのはそれなりに大変です。
しかし、助動詞は全部で18個、意味による分類で12グループしかありません。
まずは、「活用の型」による分類と関連付けた「桃太郎さん」の曲に合わせて、全18個を覚えてしまいましょう!
♪「桃太郎さん桃太郎さんお腰につけたきびだんご一つ私に下さいな」 ♪
「もーも」『たろさん』「もも」『たろさん』(合いの手)
「れーる」『られる』 「せる」『させる』 (たがる)
「おーこ」『しーに』「つーけ」『たー』「きーび」『だーん』「ごー」
「なーい」『たーい』「らしい」『だ』「よーだ」『そーー』「だー」
「ひーと」『つー』「わーた」『しーに』「くーだ」『さーい』「なー」
「でーす」『ます』「たー」 『ぬー』 「うー」 『よう』 「まい」
助動詞の分類
助動詞は、意味・活用・接続によって分類されます。
まずは基本形と意味をセットにして覚えましょう。
入試対策としては、意味の見分けがまず重要です。
その上で、「ない」が助動詞なのか、形容詞なのか、「に」が格助詞なのか、助動詞の一部なのか、形容動詞の一部なのか、副詞の一部なのか、という識別問題に取り組まなくてはなりません。
意味による分類
①受け身・可能・自発・尊敬⇒「れる・られる」
・人に笑われる。(受け身:他から何かされることを表す。)
・ピーマンを食べられる。(可能:何かをすることができることを表す。)
・彼のことが偲(しの)ばれる。(自発:自然とそうなることを表す。)
・社長が来られる。(尊敬:動作をする人を敬うことを表す。)
②使役⇒「せる・させる」
・弟を買い物に行かせる。(使役:人に何かをさせることを表す。)
・テストを受けさせる。(使役)
③打ち消し(否定)⇒「ない・ぬ(ん)」
・家には帰らないつもりだ。(打ち消し:動作や存在を打ち消すことを表す。)
・私は戦わぬ。(打ち消し)
④希望⇒「たい・たがる」
・明日は遊びたい。(希望:「たい」は話し手の希望を表す。)
・友達が行きたがっている。(希望:「たがる」は話し手以外の希望を表す。)
⑤推量・意志⇒「う・よう」
・彼も花が好きだろう。(推量:不確かなことを推しはかることを表す。)
・合格めざし、勉強しよう。(意志:話し手の強い気持ちを表す。)
⑥打ち消しの推量・意志⇒「まい」
・雨はもう降るまい。(打消推量:動詞を打ち消しながら推量する。「降らないだろう」)
・嘘をつくまい。(打消意志:動詞を打ち消しながら意志を表す「つかないぞ」)
⑦過去・完了・存続⇒「た」
・絵を描いた。(過去:動作や状態が過ぎ去ったことを表す。)
・片付けが済んだ。(完了:動作が完全に終わったことを表す。)
・屋根を赤く塗った家がある。(存続:動作や状態がそのまま続いていることを表す。)
⑧丁寧⇒「ます」
・本を読みます。(丁寧:相手に敬意を表した言い方。丁寧の意味を表す。)
⑨推定⇒「らしい」
・明日には雨が止むらしい。(推定:根拠にもとづいて推し量ることを表す。)
⑩断定⇒「だ・です」
・この人は俳優だ。(断定:はっきり判断をくだす。)
・こちらが和菓子です。(断定:「です」は「だ」の丁寧語)
⑪例え・推定⇒「ようだ・ようです」
・真っ白で雪のようだ。(例え:あるものにたとえることを表す。)
・まもなく雨が降るようです。(推定:根拠にもとづいて推し量ることを表す。)
⑫様態・伝聞⇒「そうだ・そうです」
・お茶が渋そうだ。(様態:そういう様子であることを表す。)
・彼は転校するそうです。(伝聞:人づてに聞くことを表す。)
活用による分類
助動詞の活用の仕方をまとめると、次の5種類となります。
①動詞型(「―る」の形)
「せる」「させる」「れる」「られる」が下一段型、「たがる」が五段型で活用。
②形容詞型(「―い」の形)
「ない」「たい」「らしい」
「まい」を除く「―い」の形が形容詞型活用。
③形容動詞型(「―だ」の形)
「ようだ」「そうだ」「だ」
④特殊型
「ます」「です」「た」「ぬ」
上記以外の特殊な活用。活用表をみておく必要あり。
⑤無変化型
「う」「よう」「まい」
活用しないともとれるが、歴史的な経緯から、助詞ではなく助動詞に分類される。
接続による分類
助動詞を接続でまとめると、次の5種類となります。
①未然形接続―「せる」「させる」「れる」「られる」「ない」「ぬ」「う」「よう」「まい」
「まい」は五段活用以外の動詞には未然形に接続する。
「彼はこのようなことはしまい。」
②連用形接続―「たい」「たがる」「ます」「た」「そうだ(様態)」
様態の意味の「そうだ」は活用語の連用形に接続する。
「今にも笑いそうだ。」
③終止形接続―「まい」「そうだ(伝聞)」「らしい」
「まい」は五段活用の動詞には終止形に接続する。
「誰も知るまい。」
伝聞の意味の「そうだ」は終止形に接続する。
「彼も行くそうだ。」
④連体形接続―「ようだ」
「ようだ」は助詞の「の」に接続する場合もある。
「まるで夜のようだ。」
⑤体言・助詞接続―「らしい」「だ」「です」
まとめ
一文の意味を大きく左右する「助詞」と「助動詞」について見てきました。
ともに文法上「付属語」と呼ばれるもので、「それだけでは文節が作れず、必ず自立語の下について文節をつくる単語」です。
違いは、活用の〈ある〉〈なし〉です。
活用があるのが「助動詞」、活用がないのが「助詞」です。
結構なボリュームの文章になってしまいましたが、それでも言い足りないのが「助詞・助動詞」という品詞です。
本当に「助詞・助動詞」は難解です。
しかし、同時にそれはそれほど『奥深い』とも言えます。
「助詞・助動詞」の学習を通じて、そういう日本語の『奥深さ』を感じてほしいと思います。
そして、言葉に対しての感受性を培ってください。
そうすることが、人間性を高めることに繋がります。