増加する看護学生

 

「ねぇ、先生。私、看護に進もうと思うんだけど・・・」 

 

ここ数年、塾生の進路相談で多く聞かれる言葉です。 

以前から、進路先に看護系を選ぶ生徒さんはいましたが、10年ほど前から明らかに増えてきた印象を受けます。 

厚労省の推計によると、2025年には団塊の世代が75歳以上となり、医療ニーズがピークを迎え、現状より看護職が6万~27万人不足するとされています。

そのため国は看護師の育成に力を入れており、2011年度には199校だった看護学科のある大学が、2020年度には293校まで増加しています。

一時期に比べるとペースは落ちてきているものの今も増え続けています。 

 

それに伴い、看護学校の入学者も増え続け、2016年に微減した以外は、2018年までずっと増加し続けていました。

看護学校の卒業生数は20203月は59248人と、過去最高の数でした。 

20192020年と入学生の数が2年連続で減少してきてはいますが、依然として6万人を超える数をキープし続けており、看護系受験者数は高いレベルで推移しています。 

 

 

 

看護師になるためには

 

 

看護師になるには、国家試験に合格して得られる看護師資格が必要です。

そして、看護師国家試験の受験資格を得るためには、文部科学大臣指定の学校もしくは厚生労働大臣指定の看護師養成機関を卒業する必要があります。 

学校は4年制大学と3年制の短大・専門学校があり、在学期間だけでなく授業内容や取得できる受験資格などで違いがあります。

4年制大学は看護師になるための専門授業以外にも一般教養科目が充実しており、幅広い教養を身につけることができます。

また、看護師国家試験の受験資格と同時に保健師と助産師の国家試験受験資格を得ることができます。

また、養護教諭養成課程のある大学で学べば、養護教諭の免許状を取得することもできます。 

一方、3年制の短大・専門学校は看護師になるための勉強に特化していて、実技や実習が充実しています。

4年制大学よりも1年早く卒業できるので少しでも早く現場に出たいという人におすすめです。 

なお、2年制の看護系学科やコースも存在はしますが、2年制で得られるのは都道府県知事発行の免許である准看護師の試験受験資格です。

看護師になるためには、再度通学しなければなりません。 

 

また対象年齢が変わりますが、5年課程の看護科の高校もあります。順調にいけば20歳で看護師資格を取得でき、最年少で看護職に就くことができます。

中学生の方はこうした選択肢を考えておくのも良いでしょう。 

 

卒業までにかかる費用は学校によって差がありますが、多くの学校で奨学金の給付制度があり、返還不要(指定病院での一定期間の勤務が条件)のものもありますので、学校を選ぶ際にそうした点もよく調べて比較すると良いでしょう。 

受験対策

 

 

看護学部(学科)の受験教科は、国公立大学では5~7教科必要ですが、短大・専門学校は主に2~3教科で受験できます。

基本的に「数学・化学・生物・現代文」から1科目と「英語」の2科目で受けられる大学がほとんどです。

文系の方は「英語と国語」、理系の方は「英語と数学」「英語と化学/生物」で受験することができるので、文系理系どちらからでも受験が可能です。

面接や小論文を課している学校もありますので、遅くとも受験3ヶ月前には対策を始めておくと良いでしょう。 

 

短大・専門学校の受験対策

 

短大・専門学校の入試問題は基本的な問題がほとんどです。

高校までで習う範囲を超える出題はほぼありません。

教科書レベルの基本内容をしっかりと確実に理解しておきましょう。 

 

国語対策

国語の入試問題の傾向として、古文・漢文の出題は少なく、ほとんどが現代文からの出題です。 

現代文の読解は小説、エッセイ、論説、評論など文の種類は多様ですが、設問内容は「文章の論理的つながり」「指示語の示す内容」「全体の要旨」を問う問題が比較的多いです。 

エッセイや論説文、評論では段落ごとの大意をつかむように読むこと、小説では文学的表現に注意しながら、主題をつかみ、著者の心情や状況、情緒を正確につかめるようにしておきましょう。 

文の内容は、医療や健康に関わるエッセイや論説、小説なら生命や倫理観を題材にしたものから多く出題されます。 

普段から医学系の文章を読んでおき、慣れておくことが大切です。 

国語の対策でもうひとつのポイントとなるのは漢字や語句(慣用句・四字熟語)の問題です。 

これらは他の学部学科と比較しても配点が高く、確実に得点源にしておきたいところです。 

数学対策 

数学も教科書レベルの問題が理解できれば大丈夫です。

数学は多くの学校で「数学のみ」「数学&A」の出題となっていて、難易度は学校で使っている問題集と同程度、もしくはそれよりも少し易し目です。

問題数も少なく、一題あたりの配点が5点から10点と高いので、やさしい問題での失点は命取りです。 

 

4~6割が計算問題で占めていますので、計算問題を正確に解けるようにしておくことが重要です。

スピードよりも正確さに重点を置いた勉強が、看護学校の数学対策のコツです。 

また数学は看護学校ごとに特色が出やすいので、受験する看護学校の過去問を取り寄せて、傾向を調べておきましょう。 

 

英語対策  

英語の長文問題のテーマは看護医療系であることが多いため、看護医療系の長文に読み慣れておくことが必要です。

病気や病状名、体の部位が問題文中に出てきたり、患者とのやり取りが会話文として出題されることもあります。

英単語を勉強する際に一般的な受験英単語だけでなく看護医療系の英単語も覚えておきましょう。 

 

また設問では内容一致の問いが多く出題されます。

文中に分からない単語があったとしても大意をつかめるように普段からトレーニングしておくことも重要です。 

発音・アクセント問題は短期で効果が出やすい分野ですので、過去問の傾向をみて、志望校によく出題されているようなら、集中して勉強することで得点アップが見込めます。 

書き換え問題も頻出分野のひとつです。

態を変えるもの、tooto⇒sothatの書き換え、前置詞、時制、仮定法、Itthat構文、関係詞、動名詞・不定詞・分詞の使い分けなどは入試直前にもう一度復習しておくことをオススメします。 

 

生物対策 

生物は他の教科に比べて暗記しなければならないことが非常に多い科目です。 

看護系の特徴として、人体に関連の深い部分の出題が多く、人間の生理(ホルモン、血液など)の問題が出る傾向にあり、広い知識を要求されます。 

恒常性は出題率が最も高く、暗記することが多く時間がかかるため、早めに勉強を始めておく方が良いでしょう。

特にホルモン、浸透圧調節と排出、血糖量調節、血液、自律神経系は最重要であり、動物ホルモンの名称と分泌器官、人体の臓器各部の名称と働きもおさえておきたい分野です。 

代謝は恒常性につぐ頻出分野であり、生体内での物質の代謝を扱うため化学と関係が深く、計算問題もかなり出題されます。

物質交代に関する空欄補充問題、化学反応に関する問題も多く出題されます。 

遺伝も重要分野のひとつであり、特に伴性遺伝(血友病や色覚異常など)、遺伝子の構造は共によく出題されます。

遺伝子の組換え価と分離比に関する計算も頻出なので、確実にこなせるようにしておきたいところです。

ウニの発生、カエルなど両生類の発生、卵の種類と卵割の様式についてもよく出題されます。 

有性生殖において、減数分裂によって遺伝子がどのように子世代に伝わり、その遺伝子が優性の場合と劣性の場合で、形質上にどのように現れるかという基本事項は必ず把握しておくことが重要です。 

 

化学対策 

化学の出題内容は基礎的な問題がほとんどなので、化学が得意なら得点を稼げる可能性が高いです。

応用力まで試す問題は少なく、多くが教科書に記載されている程度の問題が多いので、過去の問題を中心に、基本的な内容をしっかりと理解するように取り組みましょう。

原子量、分子量、モル、アボガドロ数、基礎的な化学反応式については確実に理解しておくようにしましょう。 

モル計算、反応式、化学結合は必須で、固体の溶解度や濃度を出しているところも多く、どちらかというと酸化還元や酸塩基の出題は少な目です。 

 

一部大学では高分子化合物の糖やたんぱく質も出題されていますが、一般的にはほとんど出題されていません。

平衡・電離平衡もあまり出題されておらず、気体や溶液の計算問題の出題も比較的少なくなっていますので、この辺りの優先順位は低めです。 

 

優先順位をつけ、重要単元順に勉強を進めていくことが、看護系の化学の受験対策においては重要です。 

受験勉強を通して得てもらいたいもの

 

 

私たちは受験勉強を通して「知る楽しさ」「わかる嬉しさ」「考える事の大切さ」を体験してもらいたいと思っています。

と同時に「わからない悔しさ」「できない苦しさ」「壁に当たった時の辛さ」も感じていただきたいのです。 

そうした経験があなた自身のこれからの人生をより豊かにし、看護師という人の命を預かる大切な仕事をしていく上での糧になると信じています。 

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