口を閉じ、鼻からゆっくり息を吐き出し、ゆっくり息を吸い込んでみる…。
…なんだか体の力が抜けて、ホッとした気持ちになりませんか?

 

普段、私たちは無意識に息を吸って吐いてを繰り返していますが、このように意識的に行うことで、
心身を安定させる効果を持っているのが「呼吸」の特長です。

 

人は1日に約2万回の呼吸をしていると言われています。
その何回かを、今のように意識的に行う「呼吸法」に変えるだけで

 

・集中力アップ
・免疫力アップ
・ストレス軽減
・精神安定

 

など、様々な良い効果を引き出せることがわかっています。

 

受験勉強を続けていると、スランプに陥ったり、
どうしてもやる気が出ないという日もあるのではないかと思います。
この記事では、そんな不調を乗り越えるための「呼吸法」をご紹介します。

 

試験まであと少し。
「呼吸法」を通じて、心身ともにベストコンディションに持っていきましょう。

 

呼吸と呼吸法の違い

正しい呼吸法を行うことで、よりその効果を高めることができます。
「呼吸法」を始める前に、少しだけ呼吸についての理解を深めておきましょう。

 

呼吸とは

呼吸とは、私たち生物に欠かせない生命維持のための活動です。
主に酸素と二酸化炭素の入れ替えを目的としています。

 

私たちは肉や魚や野菜を食べ、外部から有機物を摂取しています。そして摂取した有機物と、呼吸によって吸い込んだ酸素を化学反応させ、生きていくために必要なエネルギーを創り出しています。このような呼吸を「代謝性呼吸」と呼び、人は代謝性呼吸を無意識的に行っています。

 

代謝性呼吸が不十分だと、体内の細胞に酸素が行き届かず、身体機能の低下を招きます。
画像左の若葉が酸素に満ちた状態、画像右の枯葉が酸素の足りない状態だと考えるとイメージしやすいでしょう。

 

     

 

 

呼吸法とは

呼吸法とは、私たち人間がよりよく生きるために欠かせない自己管理力を高める活動です。
主に副交感神経と交感神経のバランス調整を目的としています。

 

私たちは生活を通じ、さまざまな刺激を受けます。そして深呼吸やため息などの呼吸運動をすることで、心身の調和や安定を保とうとします。このような呼吸を、「随意呼吸」と呼び、人は随意呼吸を意識的に行っています。つまり、「呼吸法」=「随意呼吸」ということになります。

 

このように、「呼吸」と「呼吸法」は、各々違った役割を持っています。

 

呼吸法は、自律神経を整えるための方法

「随意呼吸」の目的は「心身の調和や安定を保つこと」だと述べましたが、それは自律神経が整うことによって実現します。

 

自律神経とは、体内の情報を脳に伝える神経で、呼吸、消化、代謝、分泌、体温調節、排泄など、
自分の意思とは関係なく体の機能を調整している神経です。

 

自律神経は、交感神経と副交感神経という2つの神経から成り立っており、交感神経は興奮やストレス状態にある時に優位になります。
一方、副交感神経は、休息やリラックス状態にある時に優位になります。

 

2つの違った神経機能をバランスよく活用することで、あなたは日々の生活を快適に送ることができます。
どちらかが適切に機能しなかったり、バランスを崩した状態が続いたりすると、倦怠感や不眠、血圧の上昇、手足の冷え、多汗、動悸、頭痛、腰痛、便秘など、全身にさまざまな不調が生じてきます。

 

ストレスや刺激を多く受ける私たちは、興奮を促す交感神経の活動が激しくなりがちです。
そのため呼吸法では、リラックスを促す副交感神経へのアプローチを意識して行います。

 

呼吸法のポイント5選

呼吸法が副交感神経にアプローチし、リラックス状態を促進するものであることがわかりました。
実際の呼吸法をご紹介する前に、呼吸法を実践する際のポイントを5つご紹介します。

 

鼻呼吸

人が呼吸をするのは、鼻か口のどちらかです。
鼻は空気中のほこりや細菌を取り除き、乾燥した空気を適度な湿度にして、喉や肺にとって刺激の少ない空気にする機能がありますが、口にはありません。
人は「しゃべる」能力が発達したため口呼吸をするようになりましたが、本来、口は食べるための器官であり、呼吸のための器官ではないからです。

 

「呼吸法」は、呼吸器官としての機能が整っている鼻呼吸を意識して行うようにしましょう。

 

腹式呼吸

腹式呼吸とは、肺の下辺りの筋肉である横隔膜などによって行う呼吸です。
腹式呼吸で息を吸うと、肺は下に向かって広がります。すると、副交感神経が優位に働き、体の力が抜けやすくなります。

 

もう一つ、胸式呼吸がありますが、胸式呼吸で息を吸うと、肺は横に向かって広がり、興奮を促す交感神経が優位に働くことで体の力が入りやすくなってしまいます。
ストレスを感じている時は、体に力が入りやすくなり、肩や胸だけで行う浅い胸式呼吸になりがちです。そうすると、肺の一部にしか酸素を届けることができなくなり、血液中の酸素が不足し、細胞の機能低下を引き起こします。

 

そのため「呼吸法」では、酸素を多く取り入れることのできる腹式呼吸を意識するようにしましょう。

 

少し上を見る

少し上を向くことで、のどを開いて呼吸をしやすくします。
また、うつむき加減になり狭くなった視野を広げることにより、ネガティブ思考を回避する効果もあります。

 

息をゆっくり吐く

できるだけ長く細く、ゆっくりと息を吐きます。
鼻を通っていくスーッという息の音に意識を向けると、より呼吸に集中できるようになります。

 

お腹を絞るような感覚を持つ

お腹を絞るような感覚で息を吐いていきます。
息をしっかり吐き切ると、自然に吸う息が入ってきます。

 

実際の呼吸法を行わなくても、この5つのポイントに気を付けて呼吸をするだけで、リラックス効果があります。
まずは一度試してみてはいかがでしょうか。

 

 

呼吸法5選!

基本からイライラの解消まで、目的別の呼吸法をご紹介します。

 

まずはこれだけ!基本の呼吸法

これから紹介する呼吸法は、シンプルなうえに1分程度でできるので、呼吸法の基本としてオススメです。

 

(準備)楽な姿勢を取り、息をまずは吐き切ります。

1. 4秒かけて息を吸います。
2. 4秒息を止めます。
3. 8秒かけて息を吐きます。
4. 3~4回繰り返します。

 

キラキラしてエネルギーに満ちた空気が、体中をめぐっていくようなイメージを持つとより効果的です。

 

心臓は2拍で脈打っているので、2の倍数である4と8で秒数を設定していますが、無理に合わせようとせず、あなたが心地良いと感じる秒数の方に合わせましょう。

 

集中力を持続させたい時の呼吸法

人の集中は15分サイクルで、90分程度が集中の限界と言われています。
そのため、数時間勉強を続ける際には、適度な休憩が欠かせません。
そこでおススメなのが、呼吸法+*ポモドーロ・テクニックです。
ポモドーロ・テクニックは次のように行います。

 

1. 25分勉強します。
2. 5分休憩を取ります。(この時に呼吸法を取り入れましょう)
3. 1.と2.を4回繰り返します
4. 30分程度の休憩をとります。(この時に呼吸法を取り入れましょう)

 

集中力が途切れる前に、「呼吸法」で心身を整えれば、効率的に勉強を進めることができます。

 

(*ポモドーロ・テクニック…1980年代にフラチェスコ・シリロによって考案された時間管理術のひとつ)

 

イライラ解消!落ち着きたい時の呼吸法

問題が解けなくてピリピリ。思ったような点数が出なくてイライラ。
受験期には、どうしてもストレスがたまりやすくなるものです。

 

そんな時におススメなのが呼吸法+ため息です。
ため息は、緊張状態が続いて浅い呼吸になった時に、人が心身を緩和させようとして無意識に行う活動のひとつです。
我慢しすぎて息苦しい状態のままでいると、交感神経を刺激することになり、余計ストレスの高い状態に陥ってしまいます。

 

ため息をつきたくなったら、次のような呼吸法に合わせてリズミカルに息を「吸う」「吐く」を繰り返してみましょう。

 

1. 息を吸いながら肩を持ち上げます。
2. これ以上息が吸えなくなったら「ハァー」と一気に息を吐き出します。
3. 息を吐き出しながら、肩をストンと落とします。
4. 1~3回繰り返します。

 

自分の体をいたわるように息をしていると、自然と気持ちがおだやかになってくるはずです。

 

緊張をほぐしたい時の呼吸法

 

 

試験会場に着いたら、呼吸が浅くなって、心臓もドキドキ…。
気持ちが焦ってどうしよう…、となった経験はありませんか?

 

そんな時におススメなのが呼吸法+ジャンプ。

 

1. 足の裏を床につけたまま、ひざのバネを使って体を上下させます。
2. リズムに合わせて息をハッ、ハッ、ハッと吐きます。
3. 4~5回繰り返します。

 

「どうしよう!」という気持ちを抑え込もうとすると、余計ストレスが増します。
こうした感情は、抑え込むのではなく、受け流すとうまくいきます。
また、振動を体に伝えることで、緊張してこわばった体を緩めることできます。
そうすると血行がよくなり、体全体に酸素を行き渡らせることもできます。

 

気分転換したい時の呼吸法

「今日は一日、自習室にこもりっきりで、ひと言も声を出してないかも。」
「なんだか頭がぼんやりしてるかも。」

 

そんな時におススメなのが、呼吸法+音読。
声を出すと、自然とお腹に力が入り腹式呼吸になります。
また音読は、文字を読むこと、声に出すこと、自分の声を聞くことなどを同時に行うので、脳の活性化を促してくれます。

 

1. テキスト(好きな文章)を目線と水平になる場所まで持ち上げます。
2. 体に響くような低い声でテキストを読んでいきます。
3. 少し息が苦しい、というふうになるまで息継ぎせずに読み進めます。
4. 心地よさを感じるまで続けます。(だいたい4~5分)

 

音読+呼吸法は、読解が目的ではなく、声を出して読み上げることが目的なので、意味を理解しようと思わなくて大丈夫です。
ただ、人はリラックスした状態だと記憶力が高まるので、
音読した内容が潜在的に定着しやすくなる場合もあります。

 

声が体中に響いていくようなイメージで発声するとより効果的です。

 

呼吸法を習慣化させよう

 

 

人間は普段使っていない機能はすぐに忘れてしまいます。
ここで覚えた正しい呼吸法を日々の生活に組み込み、体に覚えさせてしまいましょう。

 

ある一定のパターンが続くと、人はそのパターンを“通常”として脳に記憶させるようになっています。
ほんの少しの習慣が、あなたの心身の状態を大きく左右します。

 

ぜひ「呼吸法」を習慣化させ、試験でベストを出すための準備を日常から実践していきましょう。

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