どう変わる?学習指導要領

教育とは来たるべき近未来の社会で適応する人材を育成することです。

そんな教育がまさに今変わろうとしています。

 

本記事においては、教育、つまり学校教育のプログラムの中枢である学習指導要領について解説していきます。

受験が変わる、教科書が改訂される、その根幹にあるのは、指導要領に他なりません。

ぜひ参考にして下さい。

 

 

なぜ学習指導要領が変わるのか

学習指導要領とは?

学習指導要領とは、先に学校教育のプログラムの中枢、と述べましたが、かみくだいて言うと国が定める学習のカリキュラムのことです。

時代の変化、子どもたちを取り巻く状況(地域・国・世界)、社会のニーズを踏まえ、中央教育審議会での議論を経た後、文部科学省が定めます。

だいたい10年ごとに改定が行われ、それを受けて教科書が改訂されたり受験制度や試験の出題内容が変わってきたりします。

今回の改訂は、2020年度に小学校、2021年度に中学校、2022年度に高等学校と、それぞれの学校に入学する1年生から年次進行で実施されていきます。

 

なぜ変わるの?

時代の変化などに伴って変わる、というわけですが、今回の改訂は「変化が激しい時代に合わせるため」という目的が大きいです。

「数年後の世の中すらどうなっているかわからないのに、結局時代遅れにならないの?」という懸念を抱く方もいるかも知れません。

たしかに、5年後の未来の社会には最適化された人材育成プログラムになっていたとしても、10年後には時代遅れになってしまうかもしれません。

それに対応すべく今後も改訂するわけなのですが、今回は「変化を前向きにとらえて適応していく人材を育成しよう」というラディカルなものになっています。

少し昔の改訂では「詰め込み教育じゃ世の中渡っていけない。生きる力を育まないと!」といったコンセプトでしたが、今回はより具体的に、10年後も適応できるような人材に、ということを狙っています。

 

新しい学習指導要領で育成すべき資質と能力

学習指導要領での学びを通しての達成度をはかる柱として、「知識、技能」「思考力、判断力、表現力」「学びに向かう力、人間性」の3つをすえています。

 

「知識、技能」

学校で学んだことを覚えたか、再現できるかだけではなく、新しく習った知識を他の既存の知識と関連づけて深く理解し、実社会の中で活かしていくことをゴールに設定しています。

既存の知識と関連づける、とはどういうことかというと、ただ新しい知識を丸暗記するだけではなく、既存の知識と共通する点を見出したり比較して違いを見出したり因果関係や相関関係を整理することです(国語の読解問題でやっていることですね)。

 

 

「思考力、判断力、表現力」

問題を解くうえで何が問われているのかを思考し、解答への過程でどのような知識、技能を活用するかを判断し、それを第三者に伝わるようにどう説明するか、一息でまとめるとこんな感じです。

数学の問題で、「なぜこれが正しいと言えるのか説明せよ」といった設問が増加しているのはまさにこういった部分です。

ただ、それだけにとどまりません。

定まった「答え」のない問題に対処するときは、自分の解答を出すまでの過程が妥当かどうか判断・検討しながらそれを説明する表現力(日本語力)が要求されます。

見たことのない問題が今後さらに増加していくでしょう。

実社会で直面する未知の課題に前向きに対処する人材を育てるんだ!という意図をビシバシ感じますね。

 

「学びに向かう力、人間性」

以上のような力を学んでも、あくまでそれを活かそうとしなければ意味はありません。

学んだことを社会や人生に活かす人材、また社会人になったあとも問題克服に迷ったら再び学びを求める姿勢をもった人材になってほしいということです。

 

以上、これらが改訂後の教育で評価されます。

要は通知表の評価基準になる、ということです。

さらに言うと、これら基準を基に学校のテストが一部改変されたりする、と考えて下さい。

 

具体的にどう変わるのか

小学校の改訂ポイント

「外国語教育」「プログラミング教育」を充実させていきます。

具体的には2020年度から小学3年生以上で英語の教科化が始まっています。

また、コンピュータに意図した処理を行わせるための論理的な思考力とされる「プログラミング的思考」を涵養します。

算数の教科書にその一端が学べるページが収録されるようになりました。

 

中学校の改訂ポイント

小学校での外国語教育の前倒しに伴い、中学の外国語の学習内容が大幅に拡充されます。

一部高校内容が中学に降りてきます。

また、どんな場面やテーマで「知識、技能」を活用するかという点で、実社会をイメージさせるよう日常生活に関わりの深いものが問題の題材に選ばれるようになります。

 

まとめ

今回は、そもそも学習指導要領とは何なのか、なぜ変わるのか、具体的にどのように変わるのかについてご紹介しました。

学習指導要領の内容がこれからの時代に必要不可欠であることがお分かりいただけたかと思います。

 

今後も学習指導要領の改訂に伴い、様々な変更が行われることが予想されます。

ぜひ定期的にチェックするようにしましょう。

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