資本主義と社会主義の違いわかりますか?

ニュースなどを見ていると「資本主義社会がまねいた〇〇」という言葉や、「社会主義政策での〇〇」など、「資本主義」や「社会主義」というワードが出てきます。

何となく日常的に出てくるこの言葉、具体的にどう違うの?と聞かれると、少し答えに詰まりそうですね。 

今回はこの2つの違いを見ていきましょう。 

 

 

資本主義とは 

資本主義でも社会主義でも、重要になってくるのは「お金」の事です。

そのお金を自分の力で稼ぐのか、みんなで協力して稼ぐのか、大雑把に言えば、その違いが資本主義と社会主義の違いです。 

 

歴史 

いつどこから資本主義が発生したのか、はっきり線引きをするのは難しいです。

人間の長い歴史で、人々はそれぞれの国に在籍し、その国の王によって支配されていました。

その下には、富豪層と呼ばれる貴族がいて、一般人の中には商売で富を得る商人もいましたが、を動かす程の身分でなければ、一財産を築くには、難しい時代がありました。

しかし、そこにも転機が訪れます。

イギリスで始まった産業革命により、新しい仕事が生まれ、新しい労働力が必要となりました。

働くほど、知恵を使うほどに手元に入るお金が多くなり、新たに富豪層になる人々が現れ始めました。 

自分の力でお金を稼ぎ、貯蓄し、財産を増やす事ができる、これが資本主義と呼ばれるものです。 

 

特徴 

資本主義の特徴は、なんといっても「自分の力でお金を稼ぎ、貯蓄し、財産を増やす事ができる」という点でしょう。

例えば、同じような商品を生産しているA社とB社があったとします。

A社は質にこだわって、高い価格設定をする事もできるし、B社は値段にこだわって、安い価格設定をする事もでき、それぞれが同じ方向に、あるいは逆の方向に動いて「競争」する事ができます。

それによって、両社とも財産が増える事もあれば、あてが外れて両社とも財産が減る事もあります。

両社とも増えるのであれば、従業員の給料も増えて、みんな幸せになれそうですね。 

 

問題点 

しかし、そううまく行くことばかりではありません。

仮にA社とB社が競争の末に、A社の商品が優れていてA社のものばかり売れ、B社は規模を縮小する事にしましょう。

そうなると、A社ばかりが儲けてしまいます。

儲けたA社は、他の事業も充実させる資金を得て、その他の事業も成功する・・・こんな事が続けば、A社改めAグループの経営トップは、どんどんお金をもうけられますね。

一方、最初からA社で働く社員は、同じグループでも給与はA社からしか貰えず、大きな儲けは得られそうにありません。

このような「富の格差」が拡大している事も事実で、年収上位10%のグループは、年収下位10%のグループの9倍もの所得があると言われています。 

 

社会主義とは 

では、それに対して社会主義とは何か・・・と話す前に、皆さんお金は持っていますか?

「今も一円も持っていなくて・・・」という方も、安心して下さいね。

ここが社会主義の国家であれば、国民に対して富を分配してくれます。

つまり、きちんと働いていれば国が給料をくれるというシステムが社会主義です。 

 

歴史 

先ほど、資本主義はいつ発生したか線引きが難しいと言いました。

社会主義に関しては、資本主義で出てきた問題点「富の格差」が社会問題となった時に誕生したと言われており、資本主義より歴史は少し浅いと考えられています。

つまり、資本主義があるからこそ生まれた考え方が「社会主義」というイメージです。 

 

特徴 

 

 

「国民に対して富を分配してくれる」と言いましたが、これはどういう意味でしょう。

資本主義の説明では、A社とB社がそれぞれの戦略で商売をし、利益を得るという例え話をしましたね。

今回出てくるのは、会社ではなく国そのものです。

様々な事業が国営の事業で、そこで国民が働き、そこで得られた利益は国民全員に平等に分配されます。

資本主義国家でも、社会主義国家でも、仕事を人に依頼し、それによって利益を得ることにかわりありません。

しかし、社会主義国家においては、仕事を人に依頼する組織が会社ではなく国家なのです。

 

また、「平等」もという言葉もキーワードです。

例えば100人で働いて1億円の利益が出たとしましょう。

資本主義であれば、働いた量や仕事の質によって、各個人で給料が異なります。

一方、社会主義は、国家からの仕事であるため、質と量もそれぞれ同じ換算であり、もらえる給料が1人100万円均一になります。

「富の格差」が無くなり、みんな平等に生活をしていけるという事です。 

 

問題点 

「国が仕事も給料もくれるなんて、最高じゃないか!」と思われる方も、当然出てくるでしょう。

しかしこの社会主義の体制をとる国は、だんだんと減ってきています。

なぜでしょうか? 

 

国から仕事をもらい、一定の給料をもらうと、だんだん「これ以上は儲けられない」というラインが見えてきます。

するとどうなるか?

金持ちになって色々とやりたい事が実現できないという事で周りとの競争力が無くなり、次第に労働意欲も無くなっていきます。

周りがだらけているのに、同じだけの給料をもらうとどうなるか?・・・何となく想像がついてきますね。 

資本主義の国では、努力して財産を築く人がいるのに、自分の国ではできないとなると、果たして「富の平等」がいいのか、「富の格差」があってもいいのか、非常に難しいジレンマに陥ります。

 

 

 

日本の資本主義 

 

日本の資本主義の歴史 

では、日本はどうでしょうか。

日本は現在、資本主義の国といえます。

 

「現在」とあえて言ったのは、日本はもともと資本主義ではなかったためです。

一体どのいつ、日本は資本主義の国になったのでしょうか?

 

日本の資本主義は、江戸幕府が崩れ、明治へと時代が変わったころ始まったと言われています。

様々な人が外国へと渡り、欧米の資本主義社会を勉強・体感し、取り入れたためです。 

中でも日本を一足飛びに資本主義へと変化させた人物が、次の一万円札の肖像に使われる「渋沢栄一」と言われています。 

 

 

彼はフランスを中心としながら、ヨーロッパ各地を見て回り、貨幣の流通こそ更なる価値を生み出す事に気付きました。

日本に戻った後は暫く謹慎していましたが、在籍していた静岡藩の借金を返し、その後は国の要人として大蔵省(現在の財務省)に入るも退職。

民間人として起業家として、銀行、インフラ、流通、教育、経済団体など400とも500とも言われる程の会社を興しました。

現在も多くの会社が残っていて、その影響力が現代にもある事を感じさせられます。

 

さて、自分で会社を興したのであれば、そこで儲けで後は悠々自適な生活を・・・と考えたいところですが、そうなる前に人に会社を譲り渡し、自らは更なる新しい会社を興すという々で、日本の近代化に大きな貢献をしました。

私利私欲を捨て、日本の国力を底から上げることに尽力した事が、次の一万円札肖像に使われる理由になっている訳です。 

他の民間人も、功績を挙げる人が現れ、資本が資本を呼ぶ結果「財閥」と呼ばれる大富豪が現れ、富の格差が生じる辺りも、他国と同じような結果となりました。

現在は財閥は解体されているものの、富の格差に関してはどの時代にも言われ続ける資本主義社会の問題点となっています。 

 

 

まとめ 

資本主義と社会主義、果たして良いのはどちらかというのは、難しいことだと思います。

どちらにも問題点があり、それぞれがなかなか解決しない問題である限り、完成した国家体制は、今のところ存在しないのが実情です。

どちらにも人々の生活がかかっているので、より良いほうを取り入れたい事は、その国の考え方にかかっている訳ですね。

もし第三の考え方によって成功する国が出てくれば、世界はその考え方を採用し、更なる発展を遂げていくことになるでしょう。 

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