皆さんはペットを飼っていますか? 

ペットを飼っていたら、一度は動物病院に行ったことがあるのではないでしょうか。
ペットはもはや人間の家族同然と考えられ、求められる動物医療は高度化し、獣医師に求められているレベルはどんどん上がっています。そんな中で今回は、獣医師を目指す獣医学部について紹介していきたいと思います。

獣医

獣医学部とは? 

概要 

獣医学部では獣医師になるための知識だけでなく、生物学、生理学、薬学、毒性学など動物に関する多様な学問を学習します。 

また、犬、猫だけでなく、馬、牛、羊など家畜についても実習を行います。 

イメージとしては「動物に関わることすべて!!」 です。

 

学ぶこと 

 1.解剖学 

牛、馬、犬、山羊、豚…。大学によって多少は異なりますが、まずは多くの種類の動物の解剖を学びます。 

大きな動物の体の筋肉や臓器は実物で見ると忘れられません。 

また、この授業では動物の構造だけでなく、「動物を扱うということ」を身をもって実感させられます。 

ちなみに血が苦手な人はちょっと大変です。 

 

2.生化学、薬理学、毒性学、生理学 

実際にマウス、ラットなどの動物を使って実験を行います。動物に薬を投与したり、血圧をモニタリングしたり、今話題のPCRを使って解析したり・・・。 

高校の理科の実験とは次元の違う、専門性の高い様々な実験を経験することができます。 

 

3.寄生虫、感染症 

様々な病原体について学習します。 

病気の原因と一言で言っても、細菌、ウイルス、寄生虫など多岐にわたります。 

 

魚の中の寄生虫を探したりもするかも・・・!?
 

4.外科、内科 

もちろん「動物のお医者さん」になるための勉強もします。 

犬猫でも病気になる原因は人間と似ていることもあります。 

逆に犬猫特有の病気、さらには犬と猫での違いなど獣医ならではの病気をたくさん勉強します。 

実際に採血したり、レントゲンを撮ったり、聴診したり、お医者さんになるトレーニングもしますよ。 

 

5.畜産業 

牛、馬、鶏に関する病気も学習します。 

あくまでも農産物の利益優先でどんな医療ができるのか。犬猫とはまた違った難しさがあります。 

安全なお肉を食べられるのも獣医さんがあってこそです。 

 

この他にも幅広い知識が求められます。 

実習では、獣医学部じゃなきゃ体験できないような経験をたくさんできます。 

動物と触れ合うことも多いので動物が好きな人にはたまらないですね。 

 

獣医学部に向いているのはこんな人! 

能力 

誰でも頑張れば獣医さんになれます! 

 

そう言いたいのですが、現実的なことを言うとある程度の記憶力、理解力は要求されます。 

獣医さんに限った話をすれば、膨大な獣医学の知識を覚え、それを病気の犬猫の症状、検査所見とどの辺が一致するか?どの病気の可能性があるのか?と診断していかなければいけません。 

そのためにはある程度の記憶力、理解力が要求されます。 

 

・・・しかし、心配することはありません。 

 

厳しい受験戦争を突破するほどの能力があれば大丈夫です! 

でも受験勉強が終わっても、勉強することはまだまだたくさんあるということは覚えておいてください。 

 

よく聞かれるのが、「高校で生物を選択したほうがいいの?」という質問についてです。

 

答えは「どちらでもいいけどほんのちょっとだけ役に立つ科目もあります!」 

 

生物を選択したから大幅に楽できるわけではありません。 

ちょっとだけ、「あっ!見たことある!」って思うくらいですかね。 

高校の生物とは全く違った、専門的な科目がほとんどなのでたいして差は生まれません。 

高校では学びたい科目を学んで問題ないと思います。 

 

あとは「お医者さんだから手が器用でなければいけないの?」と思う人もいるかもしれません。 

 

答えは「手が器用なことに越したことはないけれど必須ではありません。」 

 

専門的な分野(例えば整形外科)などを志すならば多少繊細さが求められますが、採血などの基本的な手技に限った話では練習すれば誰でもできるようになります。 

 

志向 

なんといっても動物が好きな人には向いていると思います。 

動物と関わる頻度は最も高い学部なので、動物に対して愛情をもって接せることはとても大切なことです。 

 

裏話なのですが、意外と獣医学部生にも動物アレルギーをもった人もいます。 

薬を使うなど上手に対処して実習していますよ。

 

獣医学部の主な進路・就職先 

獣医学部の人ってみんな獣医さんになるんでしょ?
 

いいえ!とんでもないです! 

獣医さんになる人ばかりではありません。獣医学部で学んだことを糧に様々な分野で活躍しています。 

 

1.獣医(いわゆる動物のお医者さん) 

 

獣医学部 獣医

 

一番すんなり浮かぶのは動物のお医者さんですね。飼い主さんにとってペットの病気を治してくれる最後の砦です。 

最近ではペットに対しても人と同じような医療が求められ、ペットにもCT、MRIなどの高度医療が提供されています。 

それに伴い獣医学も高度化し、獣医さんにも専門化が進んでいます。 

一言で動物のお医者さんといってもいろんな分野のお医者さんがいます。 

 

2.公務員 

獣医なのに公務員?意外かもしれません。 

しかし獣医師免許がないとなれない公務員の職業があります。 

お肉の安全性を管理したり、地域の捨て犬、捨て猫の管理をしたり、動物検疫所で働いたりする人もいます。 

福利厚生がしっかりしているので意外と人気だったりもしますよ。 

 

3.動物園、水族館の獣医師 

 

獣医学部 動物園

   

動物園や水族館の動物の治療をするのも獣医師の仕事の一つです。もちろん大学では治療の仕方は学びません。 

就職してから学ぶことも多く大変な仕事ですが、動物園、水族館という夢を与える場所で働けるやりがいを感じることができます。 

そしてなんといっても動物好きにはたまらない現場ですね。 

 

4.研究職 

 

北海道大学 研究者

 

企業、大学、研究所などで研究職につく人も少なくありません。特に動物実験の分野では動物のスペシャリストとしての需要があります。 

獣医学を学んでいく過程で、研究に興味を持つことで志す人が多いです。 

大学で人獣共通感染症など、獣医学ならではの分野で研究を続ける人もいます。 

 

獣医学部を卒業したからといって、獣医さんにならなければいけないわけではありません。

獣医学部の学生として学んだ経験は様々な分野で生かすことができますよ。 

  

獣医学部のある主な大学 

獣医学部のある大学は意外に少なく、全国で国立私立合わせて18大学しかありません。 

その中で特に人気の大学をご紹介します。 

 

北海道大学(定員40名、偏差値:65.0) 国立 

所在地:北海道札幌市 

北海道という広大な土地で貴重な体験をすることができます。 

動物医療センターの水準が高いのみならず、研究も盛んに行われていることも魅力です。 

同じ北海道内に位置する帯広畜産大学との共同での授業も行っており、犬、猫のような小動物だけでなく、牛、馬などの大きい動物に触れあう機会もあります。 

 

麻布大学(定員:120名、偏差値:57.5) 私立 

所在地:神奈川県相模原市 

一学年の人数が多く、年齢層も幅広いです。 

たくさんの研究室があるので自分のやりたい分野の研究をすることができます。 

 

日本大学(定員120名、偏差値:57.5~60.0) 私立 

所在地:神奈川県藤沢市 

関東の大学2つ目!関東で学べることはメリットと考える人も多いのでは? 

日本大学も一学年の人数が多く、実習も充実しています。 

 

東京農工大学(定員:30、偏差値:62.5) 国立 

所在地:東京都府中市 

意外と知られていないかも知れないのですが、東京にも国立の獣医学部があるのです。(もう1つは東京大学) 

犬猫の獣医療をメインに学ぶことができます。 

また岩手大学と共同での授業を行っており、家畜についても学ぶことができます。 

 

この他にも、特に地方で獣医学部は多く開講されています。 

それぞれの大学には特色があり、行われている研究も全然違うのでぜひ一度調べてみてください! 

 

まとめ

獣医学部のイメージがなんとなくつかめましたか?
特殊な分野なので、学べる大学も限られています。 

動物が好き!そんな理由で十分です。少しでも興味を持った方は、オープンキャンパスに参加することをお勧めします。 

大学生になった自分を具体的に想像することで、受験勉強も頑張れますね! 

 

 

 

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