教育学というのは、もしかしたら我々が最もお世話になってきた学問かもしれません。

今までお世話になってきた学校の先生はもちろん、学校で学ぶことを決める文科省の方々や、企業で人材育成をする方々も教育学を修めた人が多いです。

このようにとても身近にある教育学を学ぶことができる学部、それが教育学部です。単に先生になるための場所というわけではなく、様々な可能性が広がっています。

ぜひこの記事を読むことを通して興味を持っていただけたらと思います。

 

教育学部 保育

 

教育学部とは?

上記で述べた通り、教育学部というのは先生になるための勉強をするだけの場ではなく、様々な分野にわたって「教育」について学ぶ場です。教育学部で学ぶことは大きく4つに分けることができます。

 

1、哲学的な視点から教育について考える方法

この学びでは、答えを見つけるということは難しいですが、教育とは何かを考えることを通して教育の本質について考えを深めることができます。教育とは何のためにあるのか、理解しやすくなれます。

 

2、歴史を学ぶことを通して教育について学ぶ方法

教育における過去の失敗や成功から学ぶことで、失敗を繰り返さないことや成功を引き継ぎ続けることが出来ます。もちろん、教育というのは人間を相手にするので、歴史を学ぶだけでその再現をすることが正しいとは限りません。しかし、参考には間違いなくなるはずです。

 

3、人間学を通して学ぶ方法

人間学とは心理学、文化人類学、言語学などを含み、上の2つが教育というものを概念的にとらえ学ぶのに対して、この勉強方法はより人間に焦点を当てて学びます。

 

4、実践的に学ぶ臨床的な方法

上の3つの方法はあくまで理想を学ぶ場であって、理想的な状況のまま教育が実践できることはあり得ません。より具体性をもった状況でどのように対処すべきかを学ぶ場が必要不可欠であり、その場が最も現場に近い実用的な場です。

 

この通り、教育学が単なる教員養成の場ではないことがわかります。むしろ、教員になるためだけなら教育学部に通う必要はなく、例えば数学の先生ならば理学部数学科出身の人が多いです。むしろ、親のしつけなどの家庭教育や、企業における人材育成、文科省における指導方針の画定などの政策など、学校とは必ずしも直接的にかかわりのない場で生かされることが多いです。

 

次は、どのような職業に就く人が多いのか、について解説します。

 

教育学部に向いている人

人に興味がある

先ほど述べたとおり、教育学部というのは単に先生になるための場ではありません。そこで学ぶことは多岐にわたりますが、どれも共通点があります。それは、「人間」を相手にする学問だということです。例えば経済学部はお金を相手にしますし、法学部は法律を相手にします。教育というのはあくまで人間相手のものなので、教育学部は人間を相手にする学部なのです。なので、教育学部に向いている人の条件の一つとして、人と関わることが好き、もしくは他者に対して関心がある、ということがあるでしょう。

人と関わるのが好きではなく、他者に対して興味があまりないという人は一定数存在しますし、そのこと自体は悪いことではありません。しかしながら教育について考える場において、人と関わらずして、もしくは人に興味を持たずして良い教育を考えることは難しいです。

本をあまり読まない人が文学部に向いていないことや、運動をあまりしない人が体育学部に向いていないことと同じです。もしあなたが、人と話すことが好きだったり、他人に対して関心があるほうで、教育に興味があれば目指してみるとよいのではないでしょうか。

教育に関心がある

また、ある程度今までの人生で教育を受けてきた人でないと向かないでしょう。

まず、教育を受けてきていないと関心すらわきません。教育について考えるとき、特により良い教育を考えるとき、自身の具体的な経験に基づいた考えが出来ると取り組みやすいでしょう。もちろん、頭がいいことが条件というわけではありません。

例えば部活を頑張っていた人は、顧問や先輩から指導を受けてきたはずで、この人も教育を受けてきたといえます。家庭でのしつけに関心があったり、バイトでの教育に疑問を感じたり・・・。そういった些細なことでも、興味を持っているならば教育を学ぶと楽しく感じるかもしれません。

 

教育学部の主な就職先

教員

教員になるためだけの場ではないと解説しましたが、教員になる人、もしくは教員を目指す人は多いです。公立学校の教員を目指す場合は、都道府県や政令指定都市ごとの教員採用試験に合格することが必要です。また小学校、中学校、高校とありますがどこで教えるかによって教員免許も異なります。私立の学校であれば、学校が個別に採用を行っています。またその他にも、塾講師や予備校講師などの教員になる人も多くいます。

 

教育学部 教員

 

一般企業

一般企業に就職する人も多いですが、その中でも出版業界は学んだことを活かせるため教育学部卒の人におすすめの業界といえます。

どのように学んだことを活かせるかというと、知見を深めた教育について、教科書や参考書を通して携わることが出来ます。また、ビジネス書などほかの書物も「相手に伝える」ということが重要になっていて、これは教育学部で学ぶことでもあります。また受験ガイドや様々な大学の情報をまとめる雑誌などが刊行されていたり、出版業界の中でもできることはたくさんあります。

もちろん、テキストなどの制作に携わらない人も、学んだことを活かせます。これは出版業界に限らないことで、どの企業にも人事部や、人材育成部などがあります。そういった部署では人を相手に教えることであったり、社員のモチベーションなどの管理、新入社員の採用など、教育学部を通して学んだことが活かせる場面が多くあることでしょう。

 

教育学部のある大学

教育学部というのは、教育学部という形で設置されておらず、「人間科学部」の中や「人間学部」などの中に設置されていることもあり、教育学部を探す際には入念な下調べが必要です。

例えば、筑波大学の人間学群の中の教育学類は大変有名です。このように、学部や学科という形ではなくとも、実質的には教育学部と同じ学びをする場所があります。以下に、いくつか有名な教育学部やそれと関連する大学と学部を解説していきます。

 

筑波大学 人間学群教育学類

筑波大学という大学が難関であるうえ、この学類の定員は35名とかなりの狭き門であるといえます。ただ、その難関に挑むだけの価値がある学びが絶対に得られます。

まず、少人数であるが故の教育面での手厚さでより深い学びが期待できます。人間学部は日本の大学ではまだまだ設置されている大学は少なく、メジャーとはいいがたいですが、筑波大学の人間学類は1872年からルーツがある歴史のある場所で、これは日本の大学でとても稀有なことです。ここでは、ただ教員を育成するというスタンスではなく、そういった実践的な姿勢よりも、教育の本質について俯瞰的に学ぶという、よりアカデミックな姿勢を持っています。就職実績だけでなく研究実績においても素晴らしいため、強く教育学という学問に興味関心がある人は目指してみてはどうでしょうか。

 

教育学部

 

広島大学 教育学部

広島大学も筑波大学と同様に、歴史ある教育学部のある大学です。幼稚園教育から高校での教育、特別支援、教育学や心理学まで幅広いことが学べるのがここの特徴です。

教育学部に興味はありつつも、幅広い選択肢を持ち続けたい人には最適な場所ではないでしょうか。また、幅広いといえば海外へも目を向けており、「グローバル教員養成特定プログラム」など独自の方法で多角的なグローバル人材の育成に尽力しています。このコースでは文化や語学、教育学などを海外との比較も交えながら学ぶことが出来ます。

 

まとめ

今回の記事を読んで、教育学部は実に奥が深く、幅広い学部だということが分かったのではないでしょうか。

先生になるための場所ではなく、もっと深くまで教育を掘り下げる場だということが理解できたと思います。もし少しでも興味があれば、教育学部への受験も考えてみてくださいね。

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