今回は中学社会の公民分野で登場する、「インフレーション」「デフレーション」についてお話ししたいと思います。

インフレーションとデフレーションの覚え方、インフレーション・デフレーションと物価・通貨の価値の関係、ハイパーインフレとデフレスパイラルについてなど、様々な視点から述べていきたいと思います。

 

インフレとデフレ

インフレとは?その仕組みについて

 

インフレ(インフレーション)とは、モノの価値がお金の価値より高くなることを指します。

例えば、リンゴ1個=100円が相場だったとしましょう。

この時、リンゴ1個と100円の価値は等しいと言えます。

イラストの様に、いきなりリンゴ1個を1円で売ればお客は殺到しますが、長続きしませんし、逆にいきなりリンゴ1個を1000円で売っても誰も買ってくれませんね。

 

 

しかし、このバランスは長い時間をかけて変わっていきます。

仮に今は「リンゴ1個=100円」で安定しているとして、これが「リンゴ1個=200円」で安定するようになったとします。これは「リンゴの価値が(お金の価値に対して)上がった」もしくは、「(リンゴの価値に対して)お金の価値が下がった」と言えます。

このように、「お金の価値が下がり、モノが値上がりする状態」が「2年以上続く」ことを、インフレ(インフレーション)と呼びます。

 

 

 

デフレとは?その仕組みについて

 

デフレ(デフレーション)とは、モノの価値がお金の価値より低くなることを指します。

例えば、安定していた「リンゴ1個=100円」が、「リンゴ1個=50円」で安定するようになったとします。

これは「リンゴの価値が(お金の価値に対して)下がった」もしくは、「(リンゴの価値に対して)お金の価値が上がった」と言えます。

このように、「お金の価値が上がり、モノが値下がりする状態」が「2年以上続く」ことをデフレーション(略してデフレ)と呼びます。

 

 

 

 

 

 

 

メリットとデメリット

 

    

 

モノが値上がりし給料が増えるため、収入がある人は喜びます。

さらに、借金は値上がりしないため、借金がある人も増えた給料で返せてしまいます。

逆にモノが値上がりしたことにより、貯金していたお金は目減りしてしまうため、貯金がある人は損をしてしまいます。

「値上がりする前に買いたい」とお客さんの購買意欲が向上し、モノを売る人は高く売れます。

そのため場合によっては、お店では売り惜しみが発生し、買い物したくても売ってもらえません。

さらに、インフレでお金の価値が下がるため、土地の価値が上がり、土地を持つ人は嬉しいですね。

 

一方、デフレになったらインフレと真逆のことがおきます。

どの立場にいるかによって変わりますが、お金の価値とモノの価値のバランスがうまくとれていない状態は危険だとわかりますね。

 

 

 

歴史にみる世界のインフレとデフレ

ハイパーインフレーション

 

インフレが進み過ぎると、ハイパーインフレーション(ハイパーインフレ)と呼ばれる状態になります。

国際会計基準の定めによれば、「3年間で累積100%以上の物価上昇」というのが要件の一つになっており、3年で物価が2倍以上になると、ハイパーインフレに該当する可能性が高いといえるでしょう。

 

ハイパーインフレが過去に起きた国としては、ドイツ、ロシア、アルゼンチン、直近ではジンバブエやベネズエラなどがあります。

例えば、ドイツでは戦後、世界大戦での敗戦により多額の賠償金を迫られたことなどが理由でハイパーインフレとなりました。

ロシアでは1992年、初代大統領のエリツィン氏の下で市場経済に向けて経済改革が行われたことが一因とされています。

ジンバブエでは2008年の大統領選挙をめぐる混乱と、過度の紙幣発行でハイパーインフレになりました。

お金の価値が下がり過ぎて、ついには「100兆ジンバブエドル」なるものが登場して、ニュースに取り上げられていたので覚えている人も多いのではないでしょうか。

 

デフレスパイラル

 

物価が下がっても需要の上昇を見られず、景気の悪化が繰り返されて止まらなくなり、さらにデフレが進行してしまう悪循環に陥った状況のことを「デフレスパイラル」と呼びます。

 

具体的にデフレスパイラルとはどんなものか、ある衣料品店を例に考えてみましょう。

 

いくら宣伝しても商品が売れないという状態になると、思い切って値下げをします。

それでも売れないとなると、さらに原価ギリギリの値段まで下げることになります。

そうした状態でやっと売れたとしてもこの衣料品店は利益が出なくなります。

そんなことがこの店だけではなく、どこの商店でも起こればこれはデフレの状態です。

 

利益が出ない商店では、従業員の給料を削減しなければなりません。

給与を削減しても利益が確保できなければ、従業員を解雇するということになります。

給与が下がったり、解雇されたりするようになると、収入は大幅に減ってしまい簡単にものを買うことができないケチケチ生活が始まります。

そうすると、人々の財布のヒモがますます固くなってしまい、ますますモノが売れなくなるという悪循環に陥ってしまいます。

これが「デフレスパイラル」という状態です。

 

 

 

まとめ・私たちの生活にどう関係する?

インフレによるモノの値段の変化

 

 

 

最も身近な私たちの生活への影響といえば、このような「モノの値段の変化」といえるのではないでしょうか。

約50年という期間に4~9倍ほど値段が上昇していることが分かります。

モノの値段が上昇し続けると、同じ金額で買えるモノの量が減ってしまいます。

それはつまり、「実質的にお金の価値が減る」ということです。

 

今の暮らしを維持するためには、「最低日常生活費」の場合だと20年後「11万円」、「ゆとりある生活費」の場合だと20年後には「16.8万円」分も上乗せした生活費が必要になるというデータがあります。

しかし、今のデータのほとんどが、新型コロナウィルス禍での経済・家計の状況を基にはじき出されたものではないものが多く、今後の経済がインフレに向かうのかデフレに向かうのかは不透明なままです。

 

インフレ・デフレは、中学や高校の社会で扱う「勉強」ではありますが、いずれ皆さんが大人になって、社会や家庭での生活を送る上では知っておくべき「知識」と言えるのではないでしょうか。

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