偏差値とは?図で簡単にわかる見方と求め方
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あなたは、次のテスト結果を見てどう思いますか?
得点と平均点は70台なのに、
どうして偏差値は50台なんだろうって思いませんか?
偏差値の示す数字がわかりにくいのは、
あなたのテスト結果に、少し複雑な変換を加えているからなんです。
理由はあなたの成績をより正確に読み取ることができるようにするため。
ですから、その仕組みや見方をしっかりと理解することができれば、
受験勉強に大きく役立てることができるようになります。
偏差値とは?
偏差値とは
「その試験を受けた人の中で、あなたの成績がどれくらいの位置にあるか」
を表した指標です。
あなたの点数が平均点であれば、偏差値は必ず50になります。
平均点より低い点数を取ると偏差値も低くなり、
平均点より高い点数を取ると偏差値も高くなります。
偏差値を上手に活用すれば、点数や順位に左右されず、
集団内での自分の立ち位置を客観的に把握することができます。
そうすると、具体的な学習計画作成に役立てたり、
志望校選びの判断材料として役立てることができるようになります。
偏差値の読み取りポイント
偏差値を正しく読み取るためには
1.平均点との差
2.点数のバラつき
3.真ん中はいつも50
4.68%95%ルール
などをポイントとして押さえておくことが大切です。
1.「平均点との差」
問1:
あなたは学校の定期テストで
「国語のテストで70点を取った。」
「数学のテストで60点を取った。」
成績が良いのはどちらでしょうか?
70点取れた国語の方がよい気がしますね。
では、
「国語のテストは平均点が90点だった。」
「数学のテストは平均点が40点だった。」
とするとどうでしょう?
国語は平均点より20点低く、数学は平均点より20点高かった、
ということがわかります。
そこであなたは、
平均点より20点高かった数学のほうが良い成績だったと気付くはずです。
これは、平均点との差がわかることで、
あなたの成績がより明確になったことを示しています。
2.「点数のバラつき」
問2:
あなたは学校の定期テストで
「平均50点の社会のテストで70点を取った。」
「平均50点の英語のテストで70点を取った。」
成績が良いのはどちらでしょうか?それとも両方同じでしょうか?
では
「社会は50点~60点の間の人がほとんどだった。」
「英語は90点以上と40点以下の人に大きく分かれた。」
とするとどうでしょう?
社会のテストは、多くの人が60点を越えられなかったのに、
あなたは70点を取ったことがわかります。
英語のテストは、90点を越える人が多くいたのに、
あなたは70点を取ったことがわかります。
そこであなたは、なかなか取れない70点を取った社会のほうが良い成績だったと気付くはずです。
これは点数のバラつきがわかることで、あなたの成績がより明確になったことを示しています。
問1と問2のように、
平均点との差と点数のバラつきは、
あなたの成績がどれくらいの位置にあるのかをとてもわかりやすくしてくれます。
ただ、得点や平均点だけでは明確な数値はわかりません。
そこで活用できるのが偏差値です。
偏差値は、平均点との差と得点のバラつきの両方を考慮して、
あなたの成績を数値化してくれるのです。
図で説明すると、下のような流れになります。
3.「真ん中がいつも50」
偏差値は、試験の点数を正規分布図に当てはめて数値を算出します。
正規分布とは、中央が一番高く、
両側に向かってだんだん低くなっていく左右対称の型のことを言います。
偏差値は中央の一番高い場所を「50」に固定しています。
そのため、平均点を取ると偏差値は必ず「50」になります。
4.「68%95%ルール」
正規分布は、
1σ(偏差値だと40~60)の範囲に、全体の約68%が入る。
2σ(偏差値だと30~70)の範囲に全体の約95%が入る。
という特徴を持っています。(標準偏差の「68%95%ルール」)
つまり、ほとんどの人の偏差値が30~70の範囲に収まるようになっています。
偏差値は、こうしたルールに基づいて作られているため、
一定の基準を持った数値として活用できるのです。
下の表は、偏差値を見るときに目安となる割合です。
全部覚える必要はありませんが、
感覚として下の割合を覚えておくとよいでしょう。
偏差値を知ると何ができるの?
偏差値を知ると何ができるかというと、
1.数値化することで、具体的な学習計画を立てることができる。
2.違う科目どうしの成績を比較することができる。
3.偏差値が上がっていくと、
これまでの勉強の成果を実感することができる。
4.偏差値が上がっていくと、
次の試験へのモチベーションを高くすることができる。
5.偏差値を客観的なデータとして活用し、
先生に具体的なアドバイスをもらうことができる。
というようなことが挙げられます。
偏差値の活用のしかたを知るだけで、
これだけ多くのことに役立てることができるのです!
差値のココに注意!
偏差値は受ける集団の学力や規模で変動する
偏差値は点数や順位とは違い、
ばらつき具合が考慮されているところに特徴があります。
ばらつき具合は、
・試験教科
・試験の難易度
・受験者の性質
・受験者数
などに左右されます。
そのため、違う集団の結果を比較することはできません。
例えば全国で行う模試と、あなたの学校のみで行う模試の2つでは
受ける人の学力レベルや規模の違う集団のため、
偏差値を比較して、成績の良し悪しを判断することはできないのです。
自分の偏差値を適切に把握するためには、
その試験がどのような集団で行われたものなのか
(あなたの学校の模試、塾主催の模試、全国の模試、志望校別の模試など)
確認しておく必要があります。
「判定」は模試によって偏差値の集計方法が違う
模試の結果には、A、B、Cなど「判定」も書かれていますよね。
AからEまである判定の目安は次のような値になっています。
「A:80%以上、B:60%以上、C:40%以上、D:20%以上、E:20%未満」
「判定」は、模試によって偏差値の集計方法が違うため、
受ける模試によって変動があります。
偏差値と同様、判定もあくまでひとつの目安として活用しましょう。
偏差値を求める計算式
偏差値の計算式は、
です。
得点と平均点はわかるけれど、標準偏差って?と思いますよね。
まずは標準偏差から説明していきます。
標準偏差とは?
「標準偏差」とは、データのバラつき具合を表す指標のことです。
得点が平均値の近くに集中していれば標準偏差は小さくなり、
逆に平均からはなれていれば標準偏差は大きくなります。
「バラつきが小さい」ということは、
同じ点数を取った人がたくさんいるということなので、
その分1点の違いが偏差値に大きく影響します。
偏差値の計算手順
手順を確認しながら、実際に計算してみましょう。
例:
Aさん70点、Bさん80点、Cさん60点だった場合の
Aさんの偏差値の求め方
ステップ1:平均値を求める 平均値=データ合計÷データの個数
平均値とは、データの値の平均のことです。
全データの合計を、データの個数で割って算出します。
80+70+60=210
210÷3=70
ステップ2:偏差を求める 偏差=個々の点数-平均点
偏差とは、各データの値と、平均値との差のことです。
あなたの得点-平均点で算出します。
80-70=10 70-70=0 60-70=-10
ステップ3:偏差の2乗の合計を求める
2乗とは、同じ数字を2回かけることで得られる値のことです。
平方数ともいいます。
10²=100 0²=0 -10²=100
100+0+100=200
ステップ4:分散を求める 分散=偏差の2乗平均
分散とは、データの散らばりの度合いのことです。
偏差の2乗の和をデータの個数で割って算出します。
200÷3=66.7
ステップ5:標準偏差を求める 標準偏差=√分散
標準偏差とは、データのばらつきの大きさのことです。
分散の正の平方根で算出します。
√66.7=8.16
ステップ6:偏差値を求める 偏差値=偏差÷標準偏差×10+50
偏差値の計算式に、求めた標準偏差値をはめ込みます。
偏差値=(得点-平均点)÷標準偏差×10+50
(80-70)÷8.16×10+50=62.2
Aさんは、今回のテストで偏差値62.2だったことがわかります。
偏差値は最高100点?
偏差値に最高値や最低値はありません。
たとえば、あなたが100点で、あなた以外の25人が全員0点なら、
あなたの偏差値は100になります。
また、あなたが100点で、あなた以外の9025人が全員0点なら、
あなたの偏差値は1000になります。
こういった例は極端ですが、
計算式上100を越えたり、0 を下回る場合もあり得ます。
偏差値BFとは?
「BF」は、「ボーダーフリー(Border Free)」の略です。
ボーダーとは、合格する確率が50%となる偏差値のボーダーラインを意味します。
募集人数に対する受験者数や不合格者数が極端に少ない学校では、
競争率がかなり低くなるため、
ボーダーラインを設定することができない場合があります。
そうした場合「BF」と表記されます。
偏差値をあげるには?
偏差値を上げる方法のひとつは
「なんのために偏差値を上げたいのか?」
という、もともとの目的に立ち返ってみることです。
あなたは何のために偏差値を上げたいと思うのでしょうか?
もちろん、志望校に合格するためにですよね。
では、志望校に合格するためには、あと何点必要で、
偏差値はあとどれくらい必要なのでしょうか?
このように「目的」を明確にすることで、
「そのためにしなければならないこと」も明確になっていき、
自ずと、偏差値を上げるために何をすればよいかも見えてきます。
「なかなか偏差値が上がらない」と悩んでいたら、
おおもとにある目的について今一度振り返ってみましょう。
実際に、偏差値を10上げるためは
実際に偏差値をあげるためには、どれくらい数値を上げればいいのでしょうか。
具体的な数値も見ていきましょう。
偏差値50から偏差値60に上げる目安
1,000人が試験を受けた場合
偏差値50:上位500人
偏差値60:上位158人
偏差値50から偏差値60に上げるためには、
順位を約342位の順位を上げる必要があります。
偏差値60から偏差値70に上げる目安
1,000人が試験を受けた場合
偏差値60:上位158人
偏差値70:上位22人
偏差値60から偏差値70に上げるためには、
順位を約136位上げる必要があります。
偏差値が上がるほどに高得点を得なければならないので難易度は高まります。
どれくらいの順位で、どれくらいの偏差値が上がるのかを知っておくと、
志望校合格までにあとどれくらい頑張ればよいか明確になるので、
学習計画が立てやすくなり、モチベーションも上がります。
↓こちらの記事も参考に。
今の偏差値を知るには?
今の偏差値を知るための簡単な方法は、
受験者数の多い模擬試験を受けることです。
規模の大きい模擬試験を受けることで、
今年受験をする学生の中で、
自分の偏差値がどれくらいなのかを知ることができます。
志望校が決まっている人は、
自分と同レベルの人が多く受ける模試も活用するといいでしょう。
模擬試験会場に行けない場合は、
インターネットで受験ができる模試もあるので調べてみてくださいね。
まとめ
偏差値とは、「その試験を受けた人の中で、
あなたの成績がどれくらいの位置にあるか」を表した指標です。
偏差値を理解することで、
・志望校に合格ラインに対して、自分の成績はどのあたりにあるのか?
・自分と同じ偏差値の受験生がどれくらいいるのか?
・自分はどの分野ができているか?またはできていないか?
など、自分の学力を客観的に把握できるようになります。
効率よく受験勉強を進めるために、ぜひ偏差値を役立てていってくださいね。
オンライン家庭教師WAMでは、一人ひとりに合わせた最適な学習法とカリキュラムをもとに偏差値アップをお手伝いします。
勉強してるのになかなか偏差値や順位が上がらないと悩んでいる方は、まずはご相談ください。
■ この記事の監修者

オンライン家庭教師WAM講師。小学生から高校生まで幅広く指導可能であり、数学と英語を中心に小・中学生には全科目対応可能。
高校時代はなかなか思うような結果を出すことができず、叶えたい夢のために必死で努力をしてきた。基礎を大切にした授業を行い、生徒に合わせて寄り添うことができる講師。